現金派が知らない「脱現金派」の意外なメリット キャッシュレスは「感染症対策」にも役に立つ
消費増税に伴う形で、昨年10月からスタートした「キャッシュレス・ポイント還元事業」が、6月末をもって終了する。3月以降、世間がコロナ一色だったことを考えると、ひっそりと終わる――、そんな印象を抱く人も少なくないかもしれない。
現金決済、キャッシュレス決済に関係なく、7月からは消費税が10%(または8%)になることを考えると気が重くなる。その一方で、同事業を受けキャッシュレス決済が、この半年間でどれほど促進されたのかは気になるところだろう。
経産省によれば、最終的な登録加盟店数は約115万店(2020年6月11日時点)。4月末時点の登録加盟店に占める新規加盟店の割合は約27%とのことだ(※新規に決済事業者と契約を結んだ加盟店であり、乗換えや決済事業者の追加も含む)。
参加する店舗が想定を上回り、予算が不足することを受け、当初予算2798億円だった事業費は、累計総額約7750億円にまで上ることになった。
予算のふくらみを見ても想定を上回るリアクション、すなわちキャッシュレスに対する関心は高くなったと言っていいだろう。事実、一般社団法人キャッシュレス推進協議会が2回に分けて行ったキャッシュレス調査を見ると、還元事業参加店舗の約7割強が、還元事業をきっかけにキャッシュレスを開始、または支払手段を増やしたことがうかがえる。
キャッシュレスは「売上」に貢献しない?
また、還元事業参加店舗の売上に占めるキャッシュレス決済比率に関するアンケートでは、本事業の前後で平均約27%から約34%と約1.25倍に上昇したことも明らかになった。店舗サイドにとってもキャッシュレスに対応することは、意味がないことではないことが把握できたに違いない。
ただし、同調査で「売上に効果があった」と回答した還元事業参加店舗は、全体の約39%。裏を返せば、約6割は「あまり効果がない」「効果がない」と感じているだけに、「キャッシュレス・ポイント還元事業」の恩恵を受けることができた店舗と、そうではない店舗があったことも付記せねばならないだろう。
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