ジム・ロジャーズ「日本は20年後、必ず没落する」

21年東京五輪の心配をする暇などないはずだ

ロジャーズ氏は新型コロナが、社会革命とまでは行かなくても、世界の人々の生活や行動にすでに大きな変化をもたらしていると言います。

「(新型コロナは)数年、数十年かけて起こるべき変化を加速化させる作用がある。今までなら家を中心に勤務などしない人の在宅勤務が急激に増えた。ネット通販やウーバーイーツのようなデリバリーサービスが爆発的に拡大しているのは変化の例の一つに過ぎない」

しかし、日本には紙やハンコ承認の「文化」が根強く残っています。今回改めて10万円の給付でもわかったように、マイナンバー制度も諸説批判はありますが、結局は完全には紐付けできておらず、いざというとき使えません。そもそもマイナンバー以前に、行政への問い合わせもメールではなく基本はまだまだ電話対応を重視するなど、諸外国と比べると効率性を阻害する要素が大きく残ったままです。

日本は新型コロナ危機を機に、本当に大きく変われるのでしょうか。「仮に一歩ではなく百歩譲って、日本は「ゆっくり」と変わり始めているとしよう。しかし、その「ゆっくり」が問題なのだ。社会保障にしても、少子化対策にしても同様で、非常にゆっくり変わっている間に人口は減り、借金は増えて行く。その間に日本は沈没してしまうだろう」

外国人は衰退した国に訪れたいとは思わない

「経済が好調で、国が上昇基調にあるときは、外国人のことなど気にしなくてもよい。特別な関心を示さなくても、向こうのほうから『来たい』と言ってくれるからだ。しかし、衰退した国に、外国人は来ようとは思わない。ましてや日本が停滞している一方で、中国や韓国は成長しており外国人にとっても魅力的な国になっている。だから、日本にとってそう多くの時間があるわけではないのだ」

ロジャーズ氏は、移民を受け入れて成功した例としてアメリカやシンガポールを挙げる一方、外国人を拒んで衰退した国としてミャンマー(旧ビルマ)に言及します。

確かに「シンガポールで一生懸命働けば自国で家が建つ」という外国人労働者は、本当に真面目に働いています。もちろん日本も事実上外国人の受け入れを増やしていますが、「人口に対して少な過ぎる」と言います。ドイツのように、短期間に急激に数を増やし過ぎて問題が起きたように簡単ではないことも理解したうえで、「もっと受け入れを増やしていく必要がある」と言います。

世界中を冒険してきたロジャーズ氏は、「裕福な国の2代目3代目は、徐々に働かなくなっていく傾向がある」と言います。

「売り家と唐様で書く3代目」ということわざがありますね。これはせっかく初代が苦労して築き上げた財産を子孫が食い潰す悲惨な話なのに「売り家」と書かれた筆跡は、遊興にふけった分しゃれている」という皮肉がこめられていますが、決して日本がオリジナルというわけではありません。似たような英語や中国語などの表現があるように、どの国でも先代がとんでもないハードワーカーで資産を築いても、結局は次の代以降になくなってしまうのです。繁栄を維持したいのなら、ハングリー精神にあふれ、勤勉でよく働く外国人を受け入れたほうがよいのです。

「2021年東京五輪開催」よりも、その後の借金の心配を

日本の政府は観光を成長政策の中心の一つに掲げ、2020年の東京五輪招致にもこぎ着けました。しかし、今回は新型コロナで開催は1年延期を余儀なくされ、追加の費用も数千億円にのぼるとも言われています。ロジャーズ氏は五輪の延期についてどう考えているのでしょうか。

「オリンピックが経済的に国民のためになったことはない。オリンピックを誘致し開催することで、政治家は票を得ることができる。また、スポンサー企業や建築業など関連ビジネスは多くの収益をあげるかもしれない。しかし、過去にオリンピックで救われた国など、まったく存在しない。これは疑いようのない事実だ。なぜなら、オリンピックというものは、債務を増やすものであって、いずれどこかで国民がツケを払うことになるからだ」

ロジャーズ氏は続けます。

「日本のみなさんは、オリンピックが2021年に開催されるかどうかが心配だろう。だがそれよりも、その後の債務のことをもっと心配すべきだと言いたい」

ロジャーズ氏の意見は全くぶれず、少子化対策と移民政策(同時に財政の立て直し)に取り組むべきだと言い続けています。政治家は目先の選挙のことしか考えていませんが、日本を再生させるには長期的な政策が必要だと強調します。

関連記事
トピックボードAD
マーケットの人気記事
  • あの日のジョブズは
  • コロナ後を生き抜く
  • 自衛隊員も学ぶ!メンタルチューニング
  • ポストコロナのメガ地経学ーパワー・バランス/世界秩序/文明
トレンドライブラリーAD
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
文具業界を揺るがす動乱<br>「コクヨvs.プラス」の全真相

昨年末のぺんてる株をめぐる文具2強によるプロキシーファイト(委任状争奪戦)。両社のバトルには、8月に設立したプラスの卸子会社が2年前の計画で一度頓挫していたことにも伏線が。縮小する文具業界再編をめぐる壮絶な主導権争いに迫ります。