ジム・ロジャーズ「アマゾン株は必ず暴落する」 本格的な弱気相場がやって来たらどうなるか

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ロジャーズ氏は割安な日本も含めたアジアの観光産業に注目しているようです。もうすでに十分に安くなっている銘柄であれば、それ以上下がるリスクが低いのです。ベトナムなどの新興国にもETFを利用して投資をしています。また十分に調査をする情熱があるなら、個別株に投資をするべきだと言います。自分で調査をして見つけた割安株を仕込んで、5年後、10年後に2倍、あるいは3倍以上に上昇したら、大きな成功を得ることができるでしょう。

「不安の時代」には、金や銀に投資せよ

もう一度、有望な産業に話を戻すと、やはり観光産業は長期的に大きな伸びしろがあるといいます。確かに、新型コロナウイルスの影響で一時的に「無残な状態」になっているかもしれません。しかし、ウイルスはいずれ収束します。人々がパニックになり、株価が深刻な状態になっている時にチャンスがあるということです。

彼はこうも続けます。「私は日本の農業への投資を勧めたい。日本の農家の平均年齢は約67歳。今や彼らの子孫は地元ではなく、大阪や東京、そしてシンガポールなど海外にも移り住んでいる。アメリカの農家の平均年齢も約58歳と過去最高で、オーストラリア、カナダも似たようなものだ。そしてイギリスの農家の自殺率は非常に高く、インドも同様だ。今後、農業には大きな変化が起こると思っているので、農業への投資はお勧めだ」

他にも、同氏は割安になっているものとして、次のような投資対象を挙げます。例えば、森林火災があって大きなダメージを受けたオーストラリアや、デモがあって壊滅的になっている香港などに注目するのです。オーストラリアドルは割安になりましたし、香港を見ても、同地から撤退している日系企業も多く、不動産価格なども下落しています。こうした割安な投資対象を探して投資をするのが失敗しにくいと言うわけです。

「私は2019年の夏から金を買い始め、それ以降も連続して買い続けている。私はもっと多くの人が金や銀に投資すべきだと思っている。多くの人が医療保険や終身保険に加入しているように、資産全体の一つとして金や銀を持つべきだ。医療保険や終身保険は、できれば一生使いたくないものだが、それを持っていると安心できるものだ。金や銀もポートフォリオの中で、そのような位置付けにあるべきだ。もちろん、タイミングが合えば大きな利益を生み出してくれる」

金価格は、2008年のリーマンショック後にも上昇しましたが、ロジャーズ氏は「人々が政府に対して信頼をなくしたとき、金や銀の価格は急騰している」と言います。現在、金価格はドルベースでは再び歴史的な高値に近づいており、日本円ベースでは過去最高値を更新しています。

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