「消費増税」で試される日本株の実力 消費増税のインパクトはいかに
日本株の「素顔」の魅力は
「お化粧」を落とした日本株の実力は、どのようなものか。日経平均の2013年度の予想1株利益は、足元で1025円程度。PER(株価収益率)は約14.4倍だ。来年度に1割増益というのが、現時点での市場コンセンサスだ。予想通り1割増益を達成できれば、PERは13.1倍に低下し、お化粧を落とした「素顔」でも魅力ある水準になる。
損保ジャパン日本興亜アセットマネジメントのシニア・インベストメント・マネージャー、菅原繁男氏は「日本株の基盤である企業業績の堅調な見通しは変わらない。年初から日本株が下落したのは、新興国問題などのためにバリュエーションが低下したためだ。ファンダメンタルズを素直に評価する動きになれば、上値余地は大きい」と述べる。
ただ、消費増税の影響など先行きのリスクが多いのも、2014年度の特徴だ。米国経済の改善が下支えるとみられているが、新興国経済の減速で、高い成長は期待にしくい。勢いのあった13年度より、ショックに対し抵抗力は弱くなりそうだ。市場予想の1割増益が確保されているわけではない。
ニッセイ基礎研究所・金融研究部主任研究員の井出真吾氏は、5月時点で来期の1株利益予想は2.4%増の1050円程度にとどまりそうだとみている。「消費増税の影響が読めないほか、6月の成長戦略を控え、企業経営者は慎重な見通しを最初は出してきそうだ」という。
一方、ウクライナ情勢が小康状態になっており、PERは15倍台まで上昇するとみており、今後1カ月半の日経平均予想は1万5500円から1万6000円と予想している。
円安によっても輸出は伸びず、物価上昇と増税分を埋め合わせるほどの賃金上昇には至らなかった。市場では「日銀緩和や財政出動で日本経済もお化粧されてきた。海外投資家がちやほやしてくれている間に、成長戦略や構造改革によって素顔を磨かないと、今度こそ、失望されてしまうかもしれない」(国内投信)との危機感は依然くすぶっている。
(伊賀大記 編集:田巻一彦)
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