ピース・ウーマン ノーベル平和賞を受賞した12人の女性たち アンゲリーカ・U・ロイッター/アンネ・リュッファー著 松野泰子/上浦倫人訳~社会の偏見と闘う意味と女性の生き方を考えさせる
2人目の受賞者ジェーン・アダムズは、オバマ大統領と同じようにシカゴの貧困地域で社会運動を展開している。さらに反戦運動に取り組み、「戦争を起こす勇気があるなら、愛する人を殺さずにすむ道徳的な方策を考えるべきだ」と訴えた。だが彼女は「非国民であり、国家の戦士を堕落させる破壊分子」と批判され、司法省の監視下に置かれる。しかし、彼女は「我々の仲間が常軌を逸し、狂気をはらんだ愛国精神に浮かれているときに、なぜあなたは沈黙を守り続けるのですか」と問い続ける。
同じく平和のために戦ったエミリー・グリーン・ボルチも、「アメリカで二番目に危険な女性」と、厳しい非難を受けている。1991年に平和賞を受賞したアウンサンスーチーは、軍事政権と対立し幽閉されているが、戦いを止めてはいない。本書は、12人の受賞者が平和賞に値する人生を生きていることを活写している。
さらに人物論に加え受賞講演の抜粋も掲載されている。平和の意味と女性の生き方を考える刺激的な本になっている。
Angelika U. Reutter
1943年ドイツ生まれ。心理学の修士号を取得し、現在ライターとしてスイスのキュスナハトで活動する。
Anne Ruffer
1957年ドイツ生まれ。ライター、ドキュメンタリーフィルムの制作、出版などを中心に、スイスのチューリッヒで活動する。
英治出版 2520円 333ページ
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