「透明性」確保に危惧、突貫工事の郵政改革

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改革プロセスに不安

さらに郵政事業改革をめぐっては、もうひとつ首をかしげざるをえない事態が起きつつある。改革を具体化する今後のプロセスについて、だ。

政府は10月20日、6項目からなる「郵政改革の基本方針」を閣議決定した。同方針に基づいて、年内に日本郵政の新たな組織形態や業務の骨格が決定され、内閣府の郵政改革推進室が膨大な関連法案の策定作業に取りかかる。そして、1月開催の通常国会で法案を成立させるという。

“突貫工事”で改革を推し進める中、学識経験者などを集めた諮問会議や審議会で郵政事業の今後のあり方を検討するという通常の発想が、政権内部からまったく伝わってこない。いわば、政権外の声を取り入れずに走ろうとしているかのようなムードなのだ。この状況に、再び民業圧迫へ懸念を抱き始めた大手銀行役員は「民主的なプロセスを逸脱している」と憤慨する。民業圧迫問題は別にしても、やや信じがたい改革姿勢と言わざるをえない。

(浪川 攻 撮影:尾形文繁 =週刊東洋経済)

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