実に面白い、海外で「日本製」の列車貸し切り タイやインドネシアで鉄道ファンが挑戦

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私事で恐縮であるが、12月に当地で挙式することになり、ジャカルタから会場最寄りとなるチルボンまで日本人列席者の移動手段が必要となった。当初は定期列車に定員19人の特別車を1両増結する予定でいたが、そこに「クレタ イスティメワ」の一般格下げの報が入ってきた。

ドーム型の上屋が美しいタンジュンプリオク駅に停車中の「クレタ イスティメワ」(筆者撮影)

特別ダイヤでの運行は魅力的だ。しかし定員は40人で、最大人数が集まっても予算は約3倍となる。ただ、貸し切り運賃はジャカルタからチルボン、またはバンドンまでおよそ3~4時間の行路で6000万ルピア(約50万円)。車内では飲み放題・食べ放題で、前面・後部展望、それにカラオケの設備まで付いており、定員で割れば決して高い値段ではない。

当初ははたして人数が集まるかと心配したが、無事に同車両を貸し切ることができた。

一般人でもVIP気分?

独自ダイヤが可能なだけに、運行経路もリクエストできる。通常、ジャカルタを発着する長距離特急は市内中心部のガンビル駅発着だが、同駅は簡素な高架駅で、旅の始まりのムードはない。そこで、オランダ時代にジャカルタの玄関口として栄えた港町、タンジュンプリオク駅からの発車を注文した。現在、同駅は長距離列車の客扱いはない。

チカウム駅に放置されている元JR103系の廃車体。参加者からは「ようやく墓参りがかなった」との声もあった(筆者撮影)

さらに、ジャカルタから東へ約100km強に位置するチカウム駅への停車もリクエストした。同駅構内には日本の中古車両を含む廃車体が積み上げられているが、客扱いはなく、貨物列車が退避する以外に停車する列車がない。残念なことに、催行直前に火災が発生し、安全上の理由で通過することになってしまったが、それでも車窓から構内を眺められるよう、徐行で通過してもらうことができた。

面白いのは、この車両は格下げされたとはいえ、引き続き政府高官や鉄道会社幹部の輸送にも使われており、一般人が乗っていても運行管理上は要人輸送扱いのままであることだ。

列車通過前には警備員が線路上を巡回し、さらに各駅では駅長や軍人が列車に敬礼する。車内にも屈強な鉄道警察隊が2人も乗車する。だが、車内はもちろんお構いなしで酒盛りに興じており、その対比がまた面白かった。タンジュンプリオク駅も通常は構内の撮影が厳しく制限されているが、この日に限っては、どんなに撮影してもおとがめなし。この日限りのVIP待遇であった。

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