トヨタの自動車サブスク「KINTO」大苦戦の真因 全国展開しても認知度2割、申込み1日平均6件
「自分の自動車保険を使えないのは不便」。こうした声に応えたのが、トヨタ直営の販売会社、トヨタモビリティ東京のオリジナルプランだ。その名も「KINTO ONE TMT」。自身の自動車保険を使うことができ、パンフレットには「保険の割引も引き継げる」ことをメリットとして謳う。車種やグレードも選び放題と自由度が高い。
キントの小寺社長は「KINTO ONE TMTは昔から付き合いのあるお客さんの契約がメイン。われわれのキントは普段販売店との付き合いがない顧客がメイン。割ときれいにすみ分けができている」と話す。
ただ、前出の販売会社幹部によれば、「トヨタモビリティ東京ではオリジナルプランの方が本家のキントよりも好調」というから驚きだ。今年7月~9月の3カ月間ではオリジナルプランは150件の契約があり、本家のキントの約4倍になったという。
今でも月に50件ほどの受注がある(トヨタモビリティ東京広報)ことから、好調を維持しているといえる。直営販社が本家よりも使い勝手のいいプランを展開している”ちぐはぐ感”も否めないが、顧客のニーズを掴めているのであれば、そちらも全国展開してみる意味はあるかもしれない。
1年更新のキントも存在した
キントには別の親戚もいる。地場資本の福岡トヨタが展開する「KINTO ONE FT」だ。福岡トヨタは、福岡県のトヨタ系販売会社で最大規模を誇る。最大の売りは利用期間が3年間ではなく1年間であること。本家と同じ自動車保険込みで、8車種から選べる。
本家に比べてラインナップは見劣りするが、1年おきに違う車種が使えることに魅力を感じる人もいるだろう。転勤族の多い福岡という地域では一定の需要も期待できそうだ。福岡トヨタの取り組みも参考にしながら、キントとしては今後、契約年数が3年以外のプランも追加していく方針だ。
ただ、利用期間をどのくらいに設定するかは事業者サイドとしては悩みの種だ。キントではレクサスブランド専用の別のサービス「キントセレクト」も展開する。月額で19万8000円~(税込み)で、6車種の中から好きな車種を選び、半年おきに乗り換えることができる。
今年2月からトライアルを続けているが、「半年では短すぎる」という声や「もう少し安くしてほしい」という声もあるという。たとえ半年でも使用された車は中古車になるため、その中古車をどう流通させていくかも課題だ。キントの中古車版は新車版で使われた車両の受け皿となるという意味では1つの解決策になるが、中古車版を豊富なラインナップで展開するためには、まずは新車版の普及が欠かせない。
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