消費者金融を悩ます「コード71」登録問題


溝は埋まらないまま迫る総量規制の導入

両者の主張をよりホンネに近い表現で説明すればこうなる。金融庁は「71」の登録を継続すれば、その情報に基づいて、消費者金融会社などが過払利息返還請求を行った人のローン利用を断ることを懸念している。現に、指定認可をめぐる問題が具体化する以前から、金融庁は消費者金融業界に対し、過払利息返還請求した人にもローンを実行するよう求めてきた。

一方、仮に登録削除となれば、借り手にとって“ネガティブ情報”となりかねない実績が、今後は貸し手に判別されなくなる。結果、過払利息返還請求に拍車がかかる事態を恐れているからこそ、業界側は登録継続を求めているといえるだろう。

過払利息返還請求に対応した利息返還費用は一向に減っていない。今や、9月にアイフルが事業再生ADR活用による私的整理に踏み切る主因になったほど、消費者金融、信販・クレジットカード各社の経営を圧迫する重荷だ。確かに、利息返還請求は法律で認められた借り手の権利である。しかし、今後も同請求が高水準で続くかぎり、各社の経営は一段と弱体化せざるをえない。いわば、死活問題に近い。

したがって金融庁と業界側の溝は埋まらない。ただ、双方の主張が平行線をたどり、改正貸金業法の完全施行に向けた準備が足踏みするのでは、いかにも実りがない。むしろ、過払利息返還請求した利用者も含め、銀行からおカネを借りられない低所得者などに対し、より円滑な融資を行える仕組みをどう構築すべきか。そうした前向きな議論こそ胸襟を開いて行うべきだろう。

(浪川 攻 撮影:尾形文繁 =週刊東洋経済)

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