NHKで話題、「荒川決壊」が鉄道に与える深刻度 台風19号でも地下鉄銀座線は動いたが・・・

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東京の地下鉄に詳しい方なら、これらの運行休止区間を見てピンときたことだろう。いずれも地上走行区間とその前後が運行休止となっている点である。

地上の線路は大雨では土砂災害のリスクが高まり、暴風では線路への倒木、架線へ障害物の飛来、車両の転覆の恐れが出てくる。例えば丸ノ内線なら茗荷谷―本郷三丁目間では地上を走る区間が長く、御茶ノ水―淡路町間では、JR御茶ノ水駅のホーム下付近で神田川を渡るために地上に顔を出す。運行休止区間を淡路町までではなく銀座までとしたのは、線路やホーム、信号など折り返し設備の関係などである。

実際12日に丸ノ内線では、神田川に架かっている橋部分の坑口にあるゲート(淡路町駅側)を閉鎖した。

前述の話題となった銀座線は、渋谷駅付近で約200m地上に顔を出す。数年前までは吹きさらしの高架橋だったが、現在渋谷駅ホーム移転工事中で、この地上区間は壁に覆われ、線路はチューブの中に入った形で保護されている。風雨の影響はほとんど受けない。

すなわち、銀座線が台風19号上陸の12日、運行休止せず走り続けていたのは、昭和戦前生まれで頑丈にできているといったような話ではなく、単に地上区間がないに等しいためだった。

地下鉄だけが全線運行停止

ここで話が終わればことは単純なのだが、東京の災害リスクは一筋縄ではいかない。

都心では12日の22時頃には風雨が収まってきた。翌13日、始発から西武池袋線(池袋―飯能間)、京成全線、京王井の頭線、東急目黒線(目黒―奥沢間)、相鉄本線が動き出した。

そのほかの大手私鉄路線やJR山手線、京浜東北線、中央線などは、線路への倒木や架線被害などのため始発からは運行休止していたが、おおむね昼過ぎまでには運行を開始した。

そのような中、東京メトロ、都営地下鉄は、台風一過の13日、意外なことに、全線が始発から運行停止となる。

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