「畑違いの部署に異動させられて・・・」(中堅商社勤務38歳)

城繁幸の非エリートキャリア相談

「畑違いの部署に異動させられて・・・」(中堅商社勤務38歳)

終身雇用の崩壊、成果主義の導入などにより、日本人の「働き方」は激変。その結果、自身のキャリアに迷えるビジネスパーソンは増えていくばかりだ。これまでの古い「昭和的価値観」から抜けだし、新たな「平成的価値観」を身に付けるためにどうすればいいのか。日本の人事制度を知り尽くした城繁幸氏が、あなたの悩みにお答えします。

CASE:1

「畑違いの部署に異動させられて・・・」(中堅商社勤務38歳)

<相談者の悩み>

 このたび、人事異動でまったく未経験の別部門に異動になりました。それまでは市場調査や生産管理といった、どちらかというと間接的な部門に席を置いていたのですが、15年目にして初めて顧客と直接やりとりをする営業系の部署で働くことになりました。

 営業自体は苦になりませんし、ノルマや接待漬けといったこともありません。ただ、これまでの自分の経験は半分も生きません。入社3年目の若手に教えを請う状態で、会社に行くモチベーションすら、ともすれば失われそうになります。

 そもそも会社はなぜこういった異動をするのでしょう?

 ちなみに、こういった異動は私だけではなく、他にもしばしば畑違いの業務に回され、困惑する同僚は目にしています。ひょっとすると、これが“肩たたき”と呼ばれるものなのかな、と思い悩む日々です。

 人事制度について。一応目標管理制度は導入済みですが、実態はかなり保守的な年功序列制度です。人並み以上の貢献はしているつもりですが、年齢的に高給取りと言われても仕方ないポジションです。
 
<城繁幸氏の診断>

『肩たたきではなく、古すぎる人事制度が原因』

 典型的なゼネラリスト型のジョブローテーションですね。

 一つの業務に特化した専門家ではなく、複数の部門を経験させることで、守備範囲の広い人材を育成するという戦略です。1980年代以前は日本企業の伝統的な人材育成戦略でした。
 
 年功序列制度では、ポスト登用は基本的に勤続年数を軸として決められます。そのため、どこのポストであっても、ある程度こなせる人材を育てるほうが何かと便利だったわけです(たとえば経理しかできない人材が多いと、経理ポストに長い順番待ちができてしまうわけです)。
 
 ただ、私自身も経験がありますが、これはやられる方としてはかなりしんどいものがあります。それまでの経験やスキルがゼロリセットされるわけで、ある程度年数がたった中堅社員なら「また1から覚えるの!?」と感じる人も少なくないでしょう。

処方箋:『まずは上司に相談を』

 会社の側も、決してあなたが嫌いだからやっているわけではないでしょう。ただなんとなく、過去の習慣として、管理職適齢期の中堅社員を畑違いの部署に移す、ということを繰り返しているだけだと思われます。これは双方にとってものすごく不幸なことです。

 そこで、まず上司や人事部に相談してみるのが一番です。それでもどうにもならないなら、そこで初めて自分のキャリアに対する考えが問われます。

 もし、今の会社に十分満足しており、多少ストレスは感じても、会社のために新しい業務に取り組むつもりなら、心機一転頑張ってください。今回の異動は、むしろ管理職への登用が近い証拠だと思われます。

 ただ、あなたがこれまでのキャリアに誇りとやりがいを抱いているなら、転職によってそれを生かす機会を探すべきでしょう。

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