創業100周年に「全社員に100株」配る会社の狙い

東証1部、兵庫の設備メーカーの「ある大英断」

東証1部上場の設備メーカー・日工は創業100周年の記念に、社員全員へ自社株を配った(写真:日工)

会社の創業記念に冊子やちょっとした小物を配る会社はよくある。しかし、100周年のお祝いに自社の株式をパートも含めた全社員に配った企業となると、まず例がないだろう。

その例のないことを実際に行ったのが、兵庫県明石市に本社を置く東証1部上場の設備メーカー・日工だ。

主力製品は道路舗装に使うアスファルト合材の製造プラント。この分野では国内シェアの7割を握る、隠れた優良企業だ。しかし、あまりに一般的な社名ゆえか、地元の明石でも何を作っている会社かはあまり知られていないという。

社員857人に一律100株ずつ割り当て

同社は9月3日、保有していた自社株をグループの役職員857人に一律100株ずつ、無償で割り当てた。本件を決定した8月6日時点の株価は2930円で、受け取った側は29万3000円分のプレゼントを受け取ったことになる。

向こう3年の譲渡制限がついているが、その後は自由に処分できる。10月1日には株式の5分割が行われたので、それぞれの持ち株は500株になった。数万円の現金がほしいときに100株だけ売る、といったことも可能だ。

日工の辻勝社長(「辻」は1点しんにょう、以下同)は今年4月に就任したばかり。100周年のお祝いを自社株にした理由は、「社員に、自分の会社のことをもっと知ってほしい」というものだった。「自社の株価が何桁なのかもイメージできない社員がいるのではないか。自社の動きと社会からの評価を、株価を通じて感じてほしい」(辻社長)。

株式市場での日工の認知度は低い。同社の株主数は、東証1部の審査基準である2200人を少し上回る程度。株主還元を強化しないと、株式市場での存在感を上げられない。同社の自己資本比率は68.5%(2019年6月末)に達し、今後も株主への還元を強化する。

「知名度を上げて、継続的に投資家に理解してもらえるよう、積極的に還元していきたい」(辻社長)として、これまで30%を目安としてきた配当性向を60%以上に引き上げる。「(株主還元策として)自社株買いをしたこともあるが、株主が減ってしまうというジレンマがある」(財務本部長の藤井博・常務取締役)ため、当面は増配を還元策の基本に据える考えだ。株式5分割も、株主数を増やす狙いがあった。

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