あのレクサスが「高級ボート」まで手掛けたワケ 「4億円超」のゴージャスさに章男社長も納得
アストンマーティンの37フィートのパワーボート「AM37」にしても、アストンマーティンが行ったのはコンセプトメーキングで、実際にヨットを作ったのは、オランダのクインテッセンス・ヤッツ社である。
ハーバーで眼にしたLY650は、全長19.94メートルと余裕あるサイズで、しかもフライブリッジを持つことで、威容ぶりが圧倒される。ユニークなのは、LEXUSがこだわったスタイリングだ。
水のみならず空気を切り裂いて進むような、丸みを帯びた船首部から、流麗なカーブでリアのスイミングプラットフォームへと続くスタイルは、ヨットの常識を上書きするような大胆なものだ。
マーキー・ヨット社と共同開発し、こだわりぬいた船体
船体をLEXUSと共同開発したのは米ウィスコンシン州のマーキー・ヨット Marquis Yachts社である。ここはCFRP(炭素繊維強化プラスチック)とGFRP(いわゆるグラスファイバー)といった素材を自在に駆使して大胆な造型を実現する手腕を誇る。
クルマでいえば、60年代から70年代にかけてのイタリアのカロッツェリアが、高い技術と審美観でもって、自動車メーカーのいいパートナーとなっていたことを思い起こさせてくれた。
「船体をはじめ、あらゆる部分の建て付けの精度にこだわるとともに、クルマのように船体をメタリックで塗装したのも、LEXUSのこだわりと思っていただければ」。デザイナー出身で、レクサスインターナショナルのプレジデントを務める澤良宏氏は、現地でそう語ってくれた。
キャビンに入ると、ヨットのよさを実感する。内装はイタリアのヨットデザイン会社であるヌヴォラーリ・レナード Nuvolari Lenardとのコラボレーションで作り上げられている。
「ラグジュアリーライフスタイルブランドを目指すLEXUSの、クルマにとどまらない挑戦の象徴です。すべてにおいて細部までこだわりぬくというLEXUSのCRAFTED(クラフテッド)と呼ばれる思想を、先進的なデザインや優れた居住性を備えたラグジュアリーヨットという形で具現化しました」