スカイマーク「サイパン就航」に透ける真の狙い

2020年の再上場目指し、成田路線の拡大へ

スカイマークは今回のサイパン就航と同時に、すでに複数路線が就航している中部国際空港と成田を結ぶ路線を週2便、中部圏からサイパン線への送客という名目で新たに開設した。とはいえ、サイパン線を毎日運航するのに対し、中部線は週2便しか飛ばない。そのためサイパンから帰ってきた機材は、再びサイパンに飛ぶ時間まで「待ちぼうけ」を食らうことが多くなる。

スカイマークはなぜ、機材繰りの不便な成田―サイパン線の開設に打って出るのか。その背景には、自社が貫いてきた路線戦略の限界がある。

東証1部に上場していたスカイマークは2015年、無理な拡大戦略がたたって経営破綻。上場廃止となり、投資ファンドのインテグラル傘下で経営再建を進めてきた。会長にはインテグラル代表の佐山展生氏、社長には日本政策投資銀行でエア・ドゥなど航空会社の再建を担った市江正彦氏が就任した。

フルキャリアでもLCCでもない航空会社に

新経営陣が進めたのは、日本航空(JAL)や全日本空輸(ANA)のようなフルサービス航空会社(フルキャリア)とも、成長著しいLCC(ローコスト航空会社)とも競合しない「第3極」ポジションの確立だった。具体的には、LCCからは運航ノウハウ、フルキャリアからは顧客サービスを取り入れる。

【2019年9月30日11時45分追記】初出時の上記図表の単位「インチ」を「センチ」に修正いたします。

経営破綻前はエアバス機とボーイング機を併用していたが、現在はB737の1機種だけで運航。座席数が少ないため空席リスクが減り、機種ごとに異なる交換部品の調達やパイロット・客室乗務員の訓練といったコストも減らすことができた。これは、ピーチ・アビエーションやジェットスター・ジャパンなどのLCC各社が用いている。

サービス面では、フルキャリア並みを目指している。LCCで70センチ台前半の座席ピッチは約80センチと、フルキャリアのエコノミークラスに並ぶ水準のゆとりある設計を実現。LCCでは有料の手荷物預けも、20キログラムまで無料だ。一方で、フルキャリアの主要機材が標準装備する機内モニターは一切設置せず、最低限のサービスや設備へ絞り込んだ。

さらに、手堅い需要が見込め、経費で搭乗するために単価が高い出張客の利用促進を図るなど、定時運航率の向上に向けた地道な施策を続けた。その結果、破綻前に80%台前半だった定時運航率は、2017年度からは2年連続で国内線の定時運航率第1位(93.9%)を獲得。JAL(89.9%)やANA(90.5%)を上回った。

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