トランプ「対イラン戦争決断のXデー」は来るか そのとき株価や原油価格はどうなるのか?

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ならば、このような面々に囲まれているトランプ大統領は、今後どのような態度をとるのだろうか。個人的な願望だが、アメリカの大統領にあるまじき態度と批判されるあのキャラこそが最後の望みではないか。22日の新興メディア「AXIOS」には面白い逸話があった。3月のセントパトリック記念日、友好国アイランドの首相がホワイトハウスを訪問したとき、両国のスタッフ一同が大統領執務室に集まったところで、トランプ大統領はボルトン氏に向かって、「ジョン、君の(侵略予定国)リストにアイルランドは入っているのか」とジョークを飛ばしたという。

もしもトランプ大統領のこの性格が功を奏し、イラン戦争が回避されるなら。個人的にはトランプ大統領は本当にノーベル平和賞がふさわしいと思う。だが長年相場を見てきた立場での心配は、共和党大統領のパターンを、トランプ大統領も踏襲してしまう可能性である。

戦争国家としてのアメリカは「健在」

1992年の再選を前に、パパブッシュは1991年に湾岸戦争に踏み切った。そして2004年の再選を前に、2003年にG・W・ブッシュ氏はイラク戦争を始めた。金融市場だけをみると、どちらのケースでも開戦の号砲とともに株は上がった。

当時G・W・ブッシュ大統領は、共和党のセオドア・ルーズベルト大統領の、「正義と平和のどちらかを選べと言われたら、私は正義を選ぶ」という言葉を座右の銘にしていた。また民主党で穏健進歩主義者のイメージのW・ウイルソン大統領が第1次世界大戦に参加するために掲げたのは「戦争を終わらせるために戦争に参加する」だった。

どちらにしても、アメリカは戦争国家である(少なくとも大負けするまで)。今の株式市場のユーフォリアの一因には、仮にイランとの戦争になっても、株は下がらないだろうとの経験則がある。

ただしパパブッシュは湾岸戦争に勝利したにもかかわらず、再選に失敗した。トランプ大統領がイラン攻撃に消極的な理由は、外部の関係者(FOXチャンネル)が「イランとの戦争は選挙にマイナスになると警告したから」だといわれている。ありがたい。ただしリベラル誌のVOXの記事によれば、大統領がこのレールにとどまるには3つの条件があるという。①株価が安定していること②どんな挑発を受けてもイランがアメリカ人を殺さないこと③ウラン濃縮を20%までにとどめること。である。

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