上智大学で学ぶ世界最高水準の「交渉術」とは?

ハーバード・ロー・スクール交渉プログラム

1817年設立の米ハーバード・ロー・スクール。学業に集中できる環境が整う
つねに結果を求められるビジネスの現場では「交渉」も重要な仕事の1つだ。時には強く自己主張をしたり、断固とした「No」を伝えたりすることも必要だが、実は「交渉術」の本質とは、真の利益に着目した交渉を行うことを通じて、ステークホルダーの利益を増大させること。勝ち負けだけの問題ではないのだ。

交渉力は訓練によって高められる

「日本人は交渉が苦手」とよくいわれる。実際に、交渉がうまく進まずに忸怩(じくじ)たる思いをした経験があるビジネスパーソンは多いのではないだろうか。中には、「自分には交渉の能力がない」と諦めてしまっている人もいるかもしれない。

しかし、交渉術などを研究する上智大学法科大学院の森下哲朗教授は、「交渉スキルは知識や訓練によって、間違いなく高めることができる」と断言する。

「交渉というと、勘や気合、勝つか負けるかといったことを連想しがちですが、それほど単純なものではありません。交渉とは、人が何らかの合意を目指して働きかけるありとあらゆる場面に存在します。ビジネスや外交はもちろん、さまざまな場面で交渉力は必要とされ、交渉力を高めるには、基本的な考え方や注意点、進め方、さらには、難しい交渉に対処するための方法を理解し、練習することが不可欠です」(森下教授)

上智大学法科大学院
森下哲朗教授

日本でも交渉術についての書籍は多数出版されており、セミナーなども数多く開催されている。しかし、日本は残念ながら、交渉学の研究や教育において海外に大きな後れを取っているという。

「日本では、『交渉学』をテーマとしている研究者はいるものの、独立した学問分野として体系立てられているとは言いがたい。一方で、海外の高等教育機関では交渉学や交渉論は主要科目の1つであり、交渉学だけを専門として研究、教育している人がたくさんいます」(森下教授)

中でも、交渉学の研究、教育の分野で世界をリードしてきたのが、米ハーバード・ロー・スクールにあるProgram on Negotiation at Harvard Law School(以下、PON)だ。『ハーバード流交渉術』(原題”Getting to Yes”)と題する交渉の名著を目にしたことがある人もいるかもしれない。

30年以上の歴史を持つPONは、世界最先端の交渉学専門組織。ハーバード大学、マサチューセッツ工科大学、タフツ大学の共同事業だが、拠点はハーバード・ロー・スクールにあり、ここで多くの教員や研究者が交渉術の研究や教育を行っている。

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