上智大学が教える「国際公務員」への第一歩 国際機関への履歴書に何を書くべきか?
環境問題、国際紛争、人道危機、経済格差……、これら地球規模の課題に向き合い、「国際機関で働き、世界に良いインパクトを与えたい。もっと自分の力を試したい」と考えても、そのハードルはとてつもなく高そうで、そもそもどうすれば「国際公務員」になれるのかわかりにくい。そんな人にとって、昨年上智大学でスタートした講座はとても魅力的に映るだろう。なぜなら「国際公務員」になるための、実際的な「一歩」を後押ししてくれるからだ。
社会人でも間に合う
国際連合(UN)やその専門機関など、さまざまな国際機関で働く「国際公務員」という仕事をご存じだろうか。一つの国の利益のためではなく、そのテーマに関してどの国の政府からも拘束されずにグローバルな視点に立って任務を行う人たちだ。地球規模での問題解決に取り組む姿にあこがれを抱く学生も多いが、職員への門は狭いものとされてきた。わかりにくい採用フローに加え、語学力や専門知識、面接や論文の書き方など求められるスキルも高い。
そんな難易度の高いチャレンジを、ノウハウや知見の共有という形でバックアップするのが、2017年に始まった上智大学の「国際公務員養成講座」だ。大きくは「国際公務員養成セミナー」「国際公務員養成英語コース」「国連集中研修」と3つのコースがあるが、そのいずれでも国際公務員として長年働き、豊富な経験を持つ教授陣から実践的な内容を学べるとして、注目を集めている。
同講座を取りまとめる総合グローバル学部の植木安弘教授も、国連事務局で長く働き、広報官や広報センター部長を務めてきた人物だ。この講座の立ち上げからかかわり、現在も中心となって講義をしている。
「開設以来、学生から会社員、医師、政府機関の職員まで幅広い層の方々が受講していますが、皆さんとても意識が高く、お互いの刺激にもなっているようです。授業では、実際の国際機関への応募を想定した履歴書の書き方や面接のポイントというものから、モデルケースにおけるグループワークや議論まで、幅広く、そして実践的なプログラムを組んでいます」(植木教授)
「国際公務員養成セミナー」は、平日夕方+土曜日の全12回、6週間で受講できる。「英語コース」も全12回だが、4週間で終えるプログラムで、こちらは国連政務局や広報局での勤務経験を持つネイティブの講師が担当。プレゼンやライティングスキルに加え、国連公式文書の書式などを学び、国際公務員に求められる英語力を徹底的に鍛える講座だ。どちらも、現役の学生だけでなく、社会人でも通うことができ、多様なバックグラウンドを持つクラスメイトと机を並べるという魅力的な講座になっている。
「国連集中研修」は、夏期にニューヨークの国連本部を訪れ、国際公務員制度や採用面接の心得、履歴書の書き方などを、1週間かけて学ぶ実務型研修となっている。ここでは現役職員が分析&アドバイスをしてくれるために、言葉一つひとつがリアルだ。国際公務員のイメージ像もより具体化できるだろう。
では、国際機関では、実際にどんな人材が求められているのだろうか?