「留学と就活の両立」を上智が実現できる納得の訳 多様な個性を支援するキャリアセンターの役割

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
ギャリー氏と学生
企業・官公庁のみならず、国際機関・NPOなど国内外のさまざまなフィールドで活躍する人材を輩出している上智大学。その実績を支えるのが、学生の個性と意欲を最大限に引き出し、多様なキャリアパスを支援するキャリアセンターだ。学生主体の進路決定を促す支援、また12人に1人が留学をするという上智ならではの「留学と就職」を実現させる取り組みとは。職員と学生のリアルな声から上智大学ならではの就活支援、その全貌に迫る。

高い就職率を支える「多様性を育む支援」とは

1学年約2900人の学生が在籍する上智大学。近年の学生の就職先の傾向としては、情報・通信系企業への就職が上位を占めつつも、製造や金融など多岐にわたり、学部・学科に縛られない多様性を見せている。また2023年度の卒業生の進路実績では、従業員1000人以上の大手企業への就職が70%以上と高い割合を示した。

さらに学生の11人に1人が留学生で、新入生の4分の1が高校までになんらかの海外経験を持ち、全学生の8割以上が留学を希望するなど、国際志向を持った学生が多く在籍し、グローバル企業への就職意欲が高い点も特徴だ。世界のビジネスシーンにおいても注目が高まるSDGs経営や、CSR活動に注力する企業を希望する学生も増えているという。

業界を問わず幅広いフィールドに人材を輩出できる大きな理由としては、社会貢献意識が高い学生が多く在籍していることが挙げられる。

例えば、学生自ら社会課題と向き合い、その視点や発想を大学経営に取り入れることを目的に2021年度から導入した学生職員制度では、定員10名のところ125名の応募が集まった。またボランティアやさまざまな社会課題に取り組むサークルは39団体あり、留学生も含めた1200名以上の学生が参加している。

こうした社会貢献意識の高さを育むのが、すべての学部・学科がワンキャンパスに集約されている多様な学びの環境だ。96カ国の学生が集い、9割に上る学生が4年間を通して他学部・他学科での開講科目の受講経験があり、在学中から多様な学びを通じて仲間と意見を交わすことで、多角的な視点を得られる。自分と世界について深く考える環境が整っていることも、注目すべきポイントだろう。

ギャリー氏
キャリアセンター職員
オジェ・ギャリー

そんな環境で学ぶ上智大生の就活を支えるのがキャリアセンターだ。同センターは学生の主体的な進路決定の促進や、学生に向けたきめ細かい支援を行うという方針の下、運営されている。就職サポートを行う職員のギャリー氏は、進路を検討する学生との向き合い方についてこう話す。

「上智大生に共通しているのは、自ら課題を見いだし、その解決に向けて主体的に行動しようとする積極的な姿勢です。私たちは、そんな学生一人ひとりの個性や目標を尊重し、それぞれに適した支援を提供できるよう努めています。例えば個別相談では、ES(エントリーシート)添削などの一方的な指導ではなく、学生自ら情報を収集し、キャリア決定に際して自ら積極的にアクションを起こせるようなサポートを提供しています」

「留学と就活の両立」カギ握るキャリアセンターの役割

キャリアセンターは、年間約150件のガイダンスやOB・OG交流会などの企画、個別相談(英語・中国語対応可)などを実施しており、日本で就職を希望する留学生の相談にも応じている。

その大きな特徴は、留学を希望する学生や国際的なキャリア形成を目指す学生向けに、手厚いサポートを提供している点だ。

具体的には留学を検討している低学年の段階から、留学から帰国した学生に向けた就活支援まで状況に応じたサポートを行い、留学で得られる学びを、学生自身が望むキャリアの形成にしっかり結び付ける就職活動について、ワンストップで支援している。

「留学前の学生には、留学先での活動や帰国後の就職活動を見据えた準備に関するガイダンスを提供し、留学中の学生には、留学先からオンラインで参加できるガイダンスや個別相談を通じて、現地での就職活動をサポートしています。

また、留学から帰国した後の学生には就職活動や、卒業を延期して就職活動を継続する選択肢などさまざまなパターンを提示し、学生が自分に最適なキャリアプランを選択できるよう支援しています」(ギャリー氏)

例えば大学3年次に留学する場合、国内でのインターンシップに参加する機会が限定的になってしまう。また、留学の時期や期間によって、就活スケジュールも調整が必要なケースが出てくる点もネックとなる。そうした学生に向けては、就職活動の動き方のガイダンスなどを提供し、スケジュールの見通しができるようにするほか、留学後に進路希望が変わるといったケースについても、ガイダンスや個別相談で手厚くサポートしているという。

上智大生の「強み」をより強く社会へと発信する支援

さらに留学を支援するグローバル教育センターと連携し、留学フェアでキャリアセンターが「留学と就職」に関するガイダンスを実施するなど、留学経験を生かしたキャリア形成について考える機会を提供している。

「留学と就職活動の両立は、異国の地で学びながら日本の就活にも目を向ける必要があり、時差や言語の壁など困難が伴います。また留学期間や就職を希望する時期によっては、適切なタイミングでの活動が難しい場合もあります。しかし、上智の学生は、自らの思い描くキャリアのために挑戦から逃げず、自己実現のために尽力する傾向が強いです。困難に立ち向かう強い意志と挑戦し続ける精神は、社会に出てからも大きな強みとなります」(ギャリー氏)

学生が留学で身に付けた力を、卒業後に最大限生かすための適切な支援。留学経験者の就職満足度が95%(23年度実績)を超える結果は、明確なビジョンを持ったキャリアセンターの就活支援が効果を発揮していることを示している。

「上智の学生は、国際性や語学力だけでなく、そこで培われた異文化への理解力、調整力、問題解決能力、積極性、ストレス耐性などを企業から高く評価されています。キャリアセンターとしても、これらの強みをさらに伸ばし、学生が社会で活躍できるよう、大学全体と連携して支援を続けていきたいと思います」(ギャリー氏)

挑戦し続ける学生たちの可能性を最大限に引き出し、さまざまなフィールドで活躍できるよう支援を続けているキャリアセンター。上智大学で培った国際性と主体性を武器に、未来を切り開く人材が、これからも世界へと飛び立っていくことだろう。

上智大学のキャリア形成支援についてはこちらから

【学生の声】留学で得た、意見を伝える力の重要性

吉野さん
3年生の秋から4年生の春にかけて、米ミネソタ大学へ10カ月間留学したYさん。2025年春から外資系化粧品メーカーで、営業職に内定している。留学や就活の経験について聞いた。
ーー留学中の経験から、最も印象に残っている学びについて教えてください
留学を通じて、自分の意見をしっかり主張することの重要性を学びました。最初はディスカッションで相手に合わせてしまいがちでしたが、アメリカでは「意見を言わなければ理解されない」と痛感しました。
ディスカッションは相手を説得する場ではなく、互いの意見を出し合いながら新しい発見を得るプロセスだと気づいたことも大きな学びです。この経験は、将来の営業職でも、交渉や信頼関係の構築に役立つと考えています。
ーー大学からどのようなサポートを受けましたか?
留学先を決める際、上智大学の提携校リストがとても参考になりました。ESLプログラムの詳細やTOEFLスコアの要件などが細かく記載されており、自分に合う留学先を選びやすかったです。
また、手続き上のトラブルが発生した際には、担当職員の方が迅速に対応してくださり、無事に手続きを完了することができました。就職活動ではキャリアセンターを活用し、OB・OG訪問の連絡先の提供や、就職体験記の閲覧を通じて具体的なキャリアプランを考える助けになりました。
ーー上智大学で得た学びを今後どのように生かしていきたいですか?
上智大学の魅力は、留学の機会が充実していること、そして少人数教育によるこまやかな指導があることです。留学を希望する学生に対する支援が手厚いほか、日本にいながらも国際的な視点を養える環境が整っています。
また、少人数クラスでは教授からのフィードバックを直接受けられ、学生一人ひとりが自主的に学ぶ姿勢を培うことができます。少人数クラスでのディスカッションやプレゼンテーションを通じて、自分の意見を伝える力と、異なる意見を受け入れる力を養うことができました。
これらのスキルは、社会に出てからの交渉やチームワークにおいて不可欠だと考えています。とくに営業職では、顧客との信頼関係の構築や条件交渉の場面で、双方が納得できる解決策を見いだす力が求められます。上智大学で培った「対話を通じた合意形成のスキル」は、ビジネスの現場でも大いに役立つと確信しています。