上智大学で学ぶ世界最高水準の「交渉術」とは? ハーバード・ロー・スクール交渉プログラム
しかし、ビジネスの現場では、「この条件がのめないなら交渉は終わり」などと強引な態度に出られたり、ハッタリをかまされたりなど、難しい局面も多い。そのような事態への対処法を知らないと、押し切られて不本意な結果になりかねない。
「相手方が交渉の進行を妨害したりするような戦略を取ってくるときには、つい感情的になったり、やり返したりしがちですが、それでは相手のペースにはまるだけです。まずは、状況を冷静に分析するとともに、相手の話をよく聞くことが有効です。また、その一方で、感情やバイアスといった問題に対処する方法も知っておく必要があります。そうすることで、難しい局面を打開するためのスキルや戦術を身に付けることができます」(森下教授)
PONのチェアマンであるグーハン・サブラマニアン氏は、今回のPON Globalの上智大学での開催に際して、以下のようなメッセージを寄せている。
「At the Program on Negotiation, we believe that negotiation skills are essential for all leaders. Through training, you can increase your ability to improve partnerships, make better deals, and avoid unnecessary and costly disputes. We look forward to our first full PON Global course in Japan, and bringing this research to Sophia University.(PONでは、交渉スキルはすべてのリーダーに必須のものであると考えています。トレーニングを通じて、関係を改善し、よりよい取引を行い、無用でコストのかかる紛争を回避する能力を増すことができます。日本で最初のフル・バージョンのPON Globalを開催し、PONでの研究成果を上智大学にお届けするのを楽しみにしています)」
交渉術は一生もののスキル
さらに、上智大学では来年度より社会人プログラム「プロフェッショナル・スタディーズ」が開講する。これは、社会人を対象とした新たな学びの場。「国際通用性や創造性を導くための教養講座」や、専門性のある「スペシャリスト養成講座」などによって構成され、国際性や社会貢献など上智が培ってきた強みを反映させた講座が用意されている。
「私もこのプロフェッショナル・スタディーズで交渉の講座を担当しています。これらは日本語での講義ですので、英語での受講はハードルが高いという人にもオススメです」(森下教授)
変化の激しい現代では、ビジネスパーソンは学び続けて、アップデートし続けることが求められる。その中でも交渉術は、企業同士のトップ交渉やスタートアップの資金調達というギリギリの真剣勝負から、上司や部下の効果的な説得といった社内での関係構築、さらには家族や友人とのプライベートにも役立つものだ。「一生もの」のスキルを身に付ければ、もっと人生が豊かになりそうだ。