愛用の時刻表はどれ?「西村京太郎」創作の秘密 誰もが知りたかった疑問を鉄子が直撃

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――そういうことは実際に行って見てみないとわからないですよね。

夜行列車なら朝何時ころから乗客が起きているか、新聞はいつ積み込むか、とかね。一番最初の本『寝台特急殺人事件』は、一緒に行った編集者が酒飲みで寝てたから、ぼくがずっと起きてたんだよね。窓の外見てないと、ホームにどのくらい人が残っているかとかわからないからね。1人でやりましたよ。

――1年に12冊、担当者も12人はいるわけですよね。どの出版社でどの路線を書く、などケンカになりませんか。じゃんけんで決めるんですか?

じゃんけんではないね。光文社が本を一番最初に出してくれて売れたから...…そういう順番かな? 売れてから数年後、年間12冊のペースになった頃、各社の編集さんが年に1度、秋頃にここに集まって、来年度の計画を打ち合わせするシステムになったんですよ。

1カ月に平均5作の連載締め切りに追われる。しかし雑誌がなくなりつつある今、これからは書き下ろしも増えそうだという。
書斎にて仕事する西村先生。寝室で寝ながら仕事することもあるそう(写真:西村京太郎記念館)

――書き下ろしだと、書くペースは自分次第ですよね。私は締め切りがないとまったく書けないんですが、先生は書けますか

書けませんよ(笑)。でもまあ、ミステリーだから。どうしても書けなかったら『原っぱの真ん中に人が死んでいて、周りに足跡も何もない』そういう設定で書いちゃって、それを後から自分で解いていくというね(笑)。とりあえず連載の1回目(1カ月分)はそれで書けるじゃないですか。

わざと1カ所だけ間違える?

連載はたいてい7回。それでつなげていくそうだ。困ったらその方法で、というのがミステリーの常套手段らしい。

プロットをがっちり作って、というやり方はあまりやらない。でも最後は決まってるんですよ。犯人がわかって事件が解決するというね。

2階展示室には初版本がずらりと並んでいる(撮影:坪内政美)

映画が好きだったから、犯人が崖の上に立って海を見つめている、とか映像で見えてくるんですよね。

――だから先生の小説は、旅情が感じられたり場面が想像できるんですね。

ぼくの本のよさは読みやすさだと思うんですよね。東京ー新大阪区間の3時間足らずで読めちゃう。

ただ、ミステリーファンからはクレーム来ないけど、鉄道ファンはミスを見つけると指摘してくるんだよね。

以前、鉄道ファンが喜びそうなミスをした本がむしろ口コミで売れてしまった。それに味をしめた担当が、毎回1カ所わざと間違えてほしい、と依頼してきたことがあったという。
そういうことにも答えてしまいそうなサービス精神旺盛な西村先生。次回は十津川警部シリーズの小説やドラマの裏話、お金の話などにも切り込んで聞く。

(後編につづく)

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