愛用の時刻表はどれ?「西村京太郎」創作の秘密 誰もが知りたかった疑問を鉄子が直撃
――そういうことは実際に行って見てみないとわからないですよね。
夜行列車なら朝何時ころから乗客が起きているか、新聞はいつ積み込むか、とかね。一番最初の本『寝台特急殺人事件』は、一緒に行った編集者が酒飲みで寝てたから、ぼくがずっと起きてたんだよね。窓の外見てないと、ホームにどのくらい人が残っているかとかわからないからね。1人でやりましたよ。
――1年に12冊、担当者も12人はいるわけですよね。どの出版社でどの路線を書く、などケンカになりませんか。じゃんけんで決めるんですか?
じゃんけんではないね。光文社が本を一番最初に出してくれて売れたから...…そういう順番かな? 売れてから数年後、年間12冊のペースになった頃、各社の編集さんが年に1度、秋頃にここに集まって、来年度の計画を打ち合わせするシステムになったんですよ。
――書き下ろしだと、書くペースは自分次第ですよね。私は締め切りがないとまったく書けないんですが、先生は書けますか?
書けませんよ(笑)。でもまあ、ミステリーだから。どうしても書けなかったら『原っぱの真ん中に人が死んでいて、周りに足跡も何もない』そういう設定で書いちゃって、それを後から自分で解いていくというね(笑)。とりあえず連載の1回目(1カ月分)はそれで書けるじゃないですか。
わざと1カ所だけ間違える?
プロットをがっちり作って、というやり方はあまりやらない。でも最後は決まってるんですよ。犯人がわかって事件が解決するというね。
映画が好きだったから、犯人が崖の上に立って海を見つめている、とか映像で見えてくるんですよね。
――だから先生の小説は、旅情が感じられたり場面が想像できるんですね。
ぼくの本のよさは読みやすさだと思うんですよね。東京ー新大阪区間の3時間足らずで読めちゃう。
ただ、ミステリーファンからはクレーム来ないけど、鉄道ファンはミスを見つけると指摘してくるんだよね。
(後編につづく)
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