愛用の時刻表はどれ?「西村京太郎」創作の秘密

誰もが知りたかった疑問を鉄子が直撃

子供の頃からミステリーファン、大人になってから鉄道ファンとなった私にとって、西村先生は尊敬してやまない存在だ。そんな方と今、言葉を交わしているのが信じられない。

先生はテレビもかなり観ておられて、バス旅や秘境駅の番組の話題も。図々しくもまるで友達のような感覚ですっかり話しこんでしまった。そのときの会話はとても濃い内容で、ぜひとも書き留めておくべきだったと非常に後悔した。

それで後日、改めてインタビューに伺ったわけである。

西村氏と筆者(撮影:坪内政美)

西村先生は東京都出身で、45歳の頃に京都に移り住み20年、病で倒れてからは湯河原に住むこととなった。

「西村京太郎」はペンネームで、本名は矢島喜八郎。1964年に初の長編小説『四つの終止符』を刊行、鉄道ミステリーとしての第1作は1978年の『寝台特急殺人事件』。その後、作品が次々とドラマ化され、売れっ子への階段を駆け上る。

にもかかわらず、西村先生はどんな質問にも気さくに答えてくれる。鉄道ファンなら誰もが知りたい話題から、ストーリー作りの裏側まで、聞いてみた。

昼間は資料調べ、夜中に執筆

―先生は今でも年間12冊の新作を出し続けていらっしゃるそうですね。

毎日20枚をノルマで書いているね。年間だと4000枚だね。

――1日の生活サイクルを教えてください。

原稿用紙は光文社が作ってくれた横長のマス目の特注品。原稿はFAXで送る(筆者撮影)

書くのは夜中ですね。通常は夜中0時から書き始めて、朝5~6時頃まで書いてる。それから寝て、昼12時頃に起きる。

起きて夜まではボーッとしてますよ。昼間は資料を調べるね。昭和13年頃の新聞とかね。食事は1日3食、奥さんが出してくれる。朝昼食、夕食、夜中2時頃に夜食。夜食は麺類が多いかな。

パソコンは一切使わず、使っているペンは1本100円で太さが1.0~1.2のボールペン(写真:西村京太郎記念館)

――私、先生とまったく同じ生活です。

夜中の方が集中できますよね。テレビ点けっぱなしだったり、古今亭志ん生の落語を流しながら仕事するけどね。

でもたまに夜中寝ちゃうときがあるんだよね。そうすると慌てる。なぜか書いた夢を見てるんだよね。でも朝起きたら書けてない。普通、昼間は書かないんだけど、そういう時は昼間もやるね。

5時間で400字詰め原稿用紙20枚とすると、1時間に4枚、つまり1600字。1日で8000字ということになる。しかも手書きでこれは、相当速い。

――手書きでそのスピード。腱鞘炎になりませんか?

1回腱鞘炎になって注射を打ちました。手が使えなくて口頭で伝えて書いてもらったこともあるけど、細かなところまで伝わらないね。

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