30余年で100カ国超「世界の車窓から」誕生秘話 平成の代表的な番組はいかにして生まれたか

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チェロの演奏に乗って番組タイトル「世界の車窓から」と、地図が流れるオープニングが15秒。そして、車窓から見える景色、列車の乗客の様子、ときに駅近くの街並みといった本編が1分50秒。CM30秒をはさみ、次の日の内容予告と番組提供テロップで10秒。この計2分45秒のミニ番組は1987年6月に始まった。

撮影はぶっつけ本番

番組を企画した制作会社テレコム・ジャパン(1993年解散)のプロデューサーだった岡部憲治(69)は、広告会社電通から富士通提供のミニ番組が持ち込まれたとき、連続性があって毎日楽しめるものをと考えた。調べると世界の鉄道網は120万kmある。ネタは尽きないはずと、列車に乗りながら撮影し旅を続ける番組を考案した。

テレコム・ジャパンのテレビ番組部門として、1992年に独立したテレコムスタッフの代表取締役になってからも、プロデューサーを続けている。

取材陣は日本からのディレクター、カメラマン、ビデオエンジニアの3人1組が基本。現地のコーディネーターやドライバーが加わる。車窓からの景色と列車内の模様を撮るだけではない。列車が走る映像は、自動車で戻って風景のよい場所を探しながら撮る。駅で下車し、紹介する街を撮影することも少なくない。

アフリカや南米などで週に1本という路線のときは、ドライバーがカメラマンと先回りし、並行しながら列車を撮ることもある。海外ロケ1カ月で3カ月分の映像を収録、帰国するとなるべく早く放送する。

車窓からの風景が中心だが、列車に乗り合わせた人々との交流や鉄道のもとに広がる街の姿から、訪れた国の素顔が伝わってくる。番組を始めてみて、鉄道はその国の政治、経済、文化を反映する存在であることを実感させられた。行くたびに駅の様子やファッションが変わりもする。

撮影する国はディレクターの希望ではなく、岡部氏が決める。「いい季節にいい風景を撮る」のが基本だ。冬には寒く暗くなりがちな北半球ではなく、南半球を選ぶことが多い。

2015年時点で鉄道があるのは140カ国という。10年以上かけて世界を一周、2018年10月までに走破したのは106カ国になった。総取材距離は75万キロを超えた。当初は世界一周を早く達成したいと番組のテンポが速かったが、3、4年で少し落ち着いてきた。

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