1袋2000万円超も、「百貨店福袋」の意外な中身 新春福袋のトレンドはコト消費と平成最後

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伊勢丹新宿店では2019年のイベントを意識した福袋が販売される(撮影:今井康一)

三越伊勢丹ホールディングスも2019年のイベントを見据えた福袋を用意する。伊勢丹新宿店では、「元ラグビー日本代表伊藤剛臣が率いるドリームチームと真剣勝負!」を1組限定、216万円で販売する。2019年はラグビーワールドカップが日本で開催されることもあり、ラグビー気運が高まることを織り込んだ内容だ。

銀座三越では、「銀座を満喫!歌舞伎鑑賞と寿司食べ放題」を2組4名に3万1000円で販売する。京料理「美濃吉」に特別オーダーする特製弁当を食べながら歌舞伎を鑑賞でき、鑑賞後も銀座三越のイートインコーナーで高級江戸前すし「築地寿司岩」の30種類以上ものおすしを食べ放題できる。

松屋は“平成最後”を意識した福袋

例年ユニークな福袋を売り出すことで知られる松屋は、2019年も福袋の販売に力を込める。銀座本店では約400種、3万個の福袋を投入する。平成最後の福袋ということもあり、「平成を振り返る」とのテーマに沿った内容であることが特徴だ。

松屋銀座では「平成」を意識した福袋がラインナップされている(撮影:今井康一)

目玉の1つが、「平成最後にバブルをもう一度!『アッシー』・『メッシー』・『ミツグくん』福袋」。限定1個で54万円。バブル世代の夫婦に向け、リムジンクルーズ(アッシー)と高級フレンチのディナー(メッシー)、そして1カラットのダイヤモンドリンク(ミツグくん)を詰め合わせた。「ふたりが出会った頃を思い出し、仲を深めるきっかけになる」(会社側)との思いが込められている。

また、同社は「平成の歌姫のような美髪になる福袋」を限定20個、2万1600円で投入する。2018年に引退した人気歌手の安室奈美恵さんにあこがれている顧客に向け、同じような美髪になれるようにラ・カスタのヘアソープ、ヘアマスクなどヘアケア商品12点をセットにした。独自性を強調することで、松屋では1月2日と3日の福袋の売り上げで前年比5%増を目指す。

各社ともに、初売りで顧客の購買意欲を盛り上げる目的もあって、普段では体験でないような内容や豪華なものを取りそろえる。“あの手この手”で初売り商戦に挑み、今年間を通じての商売に弾みをつけるもくろみだ。

ただ、百貨店は急成長するネット通販との競争が激しさを増している。従来手法とも言える福袋の販売やクリアランスセールスだけに頼るのではなく、顧客を継続的に囲い込む仕掛けが求められる。

梅咲 恵司 東洋経済 記者

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うめさき けいじ / Keiji Umesaki

ゼネコン・建設業界を担当。過去に小売り、不動産、精密業界などを担当。『週刊東洋経済』臨時増刊号「名古屋臨増2017年版」編集長。著書に『百貨店・デパート興亡史』(イースト・プレス)。

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