4位のライブ・ネイション・エンターテインメント(LYV)以下、5位のフリートコ・テクノロジーズ(FLT)、6位のトリップアドバイザー(TRIP)、10位のサービスナウ(NOW)と、メディア企業やサービス企業、最近急成長を見せているクラウドサービス企業なども登場してきた。
これら新興サービス企業トップの報酬は、いわゆる役員報酬額はそれほど高額ではないが、成果報酬の意味合いの強い巨額の株式インセンティブが付与されているという点で共通している。
たとえば、ガソリンカード主体のカード決済を手掛けるフリートコ・テクノロジーズのロナルド・クラークCEOの報酬は、役員報酬213万ドルに対し株式インセンティブは5051万ドル。
世界最大の旅行口コミサイトを運営するトリップアドバイザーの創業者でCEOのステファン・カウファー氏の報酬は、役員報酬が106万ドルで株式インセンティブが4687万ドルと、いずれも株式インセンティブの額が役員報酬額を大きく上回っている。
一方で、大企業や大手金融機関のトップは逆に、いわゆる役員報酬額が大きく、株式インセンティブはそれと同額がそれ以下という企業が目立っている。13位ウォルト・ディズニー(DIS)のロバート・アイガーCEOの報酬は、役員報酬が1900万ドルで株式インセンティブは1728万ドル、16位ペプシコ(PEP)のインドラ・ヌーイCEOの報酬は、役員報酬が1665万ドルで株式インセンティブは1443万ドルという内訳だ。
さらには、トランプ大統領の有力な支持者で、大口寄付でその名が知られている28位のラスベガス・サンズ(LVS)のシェルドン・アデルソン会長兼CEOの報酬総額は2608万ドル(29.5億円)で、このうち株式インセンティブは420万ドルにとどまる。
20億円でかろうじてトップ100に
最後に、もう一度カルロス・ゴーン氏の報酬額に戻ろう。17年度の報酬額が有価証券報告書記載の情報で正しいとすれば、17年度の日産自動車の報酬額は7億3500万円、三菱自動車の報酬額は2億2700万円、そしてルノーの報酬額は737万6234ユーロ(9億4400万円、1ドル=128円換算)で、合計すると19億0600万円となる。これを1ドル=113円でドル換算すると約1687万ドルとなるが、これは米国企業の経営トップ報酬上位100社には入れない水準だ。
同じ自動車メーカートップの報酬額では、ゼネラル・モーターズ(GM)のメアリー・バーラCEOは2195万ドルで47位にランクインしているが、フォード・モーターのジェームズ・ハケットCEOはゴーン氏とほぼ同水準の1673万ドルで113位と、トップ100のランク外にある。
米国と日本、フランスとはそれぞれ社会通念や企業カルチャーが異なるため単純比較はできない面もあるが、グローバル展開する企業のトップの役割は米国企業も日本企業も大きく変わらないはず。今回の事件で報道されている内容、あるいは今後明らかになる内容はともかくとして、報酬水準だけに注目してみると、世界水準では決して高くない。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら