JR東労組「3万人脱退」で問われる労組の意義 JR労組の脱退問題続報、「無所属」が大量発生

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JR東日本の現場でいま何が起きているのか(撮影:風間仁一郎)

JR東日本(東日本旅客鉄道)の最大労働組合「東日本旅客鉄道労働組合」(以下、東労組)からの組合員の大量脱退が止まらない。4月末では3万人を超えたようだ。

会社側によれば、4月1日までの脱退者数は約2万8700人だった。その後の1カ月間で脱退の動きは落ち着きつつあるものの、2月1日時点で組合員が約4万6800人もいたことを考えると、依然として異常事態が続いている。同時に、約3万人の組合脱退者は今後、どういう選択をするのか、あらためて労組のあり方が問われている。

春闘の戦術行使に「お詫びと反省」

大量脱退のきっかけとなったのは、今年2月19日の東労組によるスト権行使の予告だった。その後、ストは回避され、春闘も妥結したが、脱退者は増え続けた。突然のスト権行使予告に対し、政府が「東労組には革マル派(日本革命的共産主義者同盟革命的マルクス主義派)が浸透している」との答弁書を出したことも大きく影響した。

東労組は4月6日に臨時中央執行委員会を開催し、中央執行委員長らの執行権停止などを決議、新体制へ向けて動きだした。12ある地方本部のうち東京、八王子、水戸の3つの地方本部から反発の動きがあったが、12日には「職場の声を尊重し(中略)新たなJR東労組を創りあげよう」をスローガンに第35回臨時大会を開催した。

前回、4月10日に東洋経済オンラインが報じたのはここまでの経緯だ(JR東労組、組合員2.8万人「大量脱退」の衝撃)。そして12日に開かれた臨時大会では、3月6日に東京・八王子・水戸の3地方本部が各労働委員会に申し立てていた会社側の不当労働行為(組合脱退強要)の告発を゛いったん”取り下げること、春闘で大量脱退を招いた闘争本部(執行部)の14名を対象に「制裁審査委員会」を設置することなどが決められた。大会後、東労組のホームページには春闘の戦術行使についてのお詫びと反省が載せられ、同時に「脱退を余儀なくされた皆さん、JR東労組への再結集を強く呼び掛けます」とした。

東労組の新体制は、6月に予定されている定期大会で確立される見通しだが、東労組関係者によれば「もともと予定していた会場での開催は難しい状況だ。組合員の大量脱退が影響し、開催費用などを見直し、会場も変更して実施することになりそうだ」という。

次ページ焦点だった「36協定」締結
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