JR東労組「3万人脱退」で問われる労組の意義

JR労組の脱退問題続報、「無所属」が大量発生

一方、会社側は、4月末に期限が迫っていた36協定(労働基準法36条に基づく、時間外・休日労働に関する協定)の締結に追われた。

会社は従業員を法定労働時間(1日8時間、週40時間)を超えて労働させる場合や、休日出勤をさせる場合には、あらかじめ労組と36協定を結び、労働基準監督署に届け出なければならない。JR東日本では36協定の失効が4月末に迫っていた。つまり、新たな協定を結ばなければ、多くの従業員の休日出勤などが不可能になり、鉄道運行に支障を来す可能性があった。

JR東日本には、従業員数名から数百名まで大小約650もの事業所があるが、36協定は各事業所ごとにその代表者と締結する。これまでは、ほとんどの事業所で過半数を占めていた東労組が代表者となっていた。だが、組合員の大量脱退で過半数に満たない事業所が大半を占めることになった。

「社友会」を通じて36協定締結

過半数の労組がない事業所では、投票によって代表者を決めなければいけない。東労組関係者によると、会社側は脱退者の受け皿として「社友会」という親睦団体を設立、脱退者が多い事業所では社友会が過半数の代表者になり締結を進めてきたという。ただ、会社側は「社友会は本社・支社など事業所ごとに自然発生的にできたもの」と関与は否定している。

深澤社長が全社員に送った「職場規律の厳正について」。「現在においてもなお~見過ごすことが出来ない問題事象が発生している」「就業規則に則り、厳正に対処します」など厳しい言葉が並んでいる(編集部撮影)

結果的に4月25日、すべての事業所で36協定は締結された。会社側にしてみれば滑り込みセーフ、逆に副産物もあった。東労組が圧倒的多数だったここ数年は、36協定を3カ月ごと、あるいは半年ごとに締結してきた。東労組からすれば、それが会社側との話し合いの契機でもあった。しかし「今回はすべて期間は1年になった」(会社側)。東労組による「36闘争」で現場が振り回されるようなことはなくなったわけだ。

今後の焦点は、東労組を脱退した3万人の動きだ。脱退者の間では「これで高い組合費を払わなくて済む」「勉強会やデモなどに振り回されなくなったので、よかった」という声が大勢を占める。が、一方で「今後は何か問題が起こったら誰が守ってくれるのか、今のままでいいのか」と心配する声もある。

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