「戦後世界秩序」が実は徐々に崩れている事実

「理想と希望」から「恐怖と分断」の政治へ

英国人は「国家主権」なる概念にしがみついている。だが、それは幻想にすぎない。英国はかつて、すばらしい政治手腕を世界に対して発揮した。今では視野の狭い言い争いが、この国の主流になってしまった。

トランプ政権が米国にもたらした政治的混乱の帰結は、英国の比ではない。過去何十年にもわたって、米国は先頭に立って世界を導いてきた。今となっては国際秩序に敬意を払うことすらせず、敵意に満ちた言説をバラまいている。

米国の奮闘は自滅的である

米国が世界秩序を守るべく奮闘するのは、逆効果となるばかりか自滅的だ……これがトランプ政権の公式な国家安全保障戦略で描かれた世界観だ。この戦略によれば、未来は国家間の紛争のみによって形づくられることになる。

おきてを無視し他国を侵略するロシア、国際舞台で傲慢に振る舞うようになった中国の存在を考えれば、米国の路線変更も無理からぬことではある。だが、いくら台頭する脅威に対抗するためであっても、国際秩序を壊すのではなく、守る方向へと本能的に動くのが、米国大統領の本来あるべき姿だ。

トランプ政権から発せられる声明は、秩序と呼べるものすべてに打撃を食らわせるのが目的のように見える。これは嘆かわしいことである。同政権は「万人の万人に対する戦い」の勝者となるのは米国だと言わんばかり。それは、保護主義と圧力によって貿易をコントロールすべき、というのが米国の理屈だからだ。

中国には、トランプ氏が掲げる利己的ロジックは魅力的なはずだ。国際ルールが減れば減るほど、中国が海外に影響力を行使するのが楽になるのだから。この流れで行けば、西側諸国は間違いなく敗者となる。これまで繁栄と平和をもたらしてきた自由主義の理念や制度を放棄すれば、致命傷となりかねない。中でも、その立役者の米英は戦後の世界秩序に決して背を向けてはならないのだ。

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