2019年、日本にカジノはできるか 「カジノ議連」、ラスベガス型委員会設置を提言
[東京 4日 ロイター] - カジノ解禁の賛成派で構成される超党派の国会議員連盟が、「統合型リゾート(IR)実施法案」に関する基本方針を策定し、その中でカジノ運営にかかわる娯楽・ゲーム企業を管理する独立管理委員会の設置や、民間企業の選定などに関する包括的な指針をまとめていることが、ロイターの取材で明らかになった。
この基本方針案は、議員連盟が近く開催予定の臨時国会に提出を目指す「IR推進法案」成立後に、新たに制定される見通しである実施法の施行に向け、具体的な議論のたたき台となる。
民間企業のカジノ免許のあり方、地方公共団体による民間企業の選定方法、関連機械・器具製造業者・サービス提供業者の免許に関する枠組み──など10項目を超える点を列挙した。
カジノ解禁で懸念される犯罪の増加や汚職、マネーロンダリングなどを回避する対策や、カジノ運営に関係する民間企業に求められる免許申請に必要な条件や基準なども示した。
すでにカジノが定着し、一定の経済効果も認められるというラスベガスやシンガポールの管理ルールを参考に作成されている。
それによると 、カジノ運営にかかわる民間企業、地方公共団体などが「公正、健全、安全なエンターテイメントとしてのカジノ提供」を行うため、運営会社、ゲーム機などの供給会社などを対象に免許制にする。
国の管理とするため、国家行政組織法第3条に基づく行政委員会として「カジノ管理委員会」を設置。同管理委は、内閣府の外局として設置され「独立性の高い機関」と位置付ける。主務官庁は「内閣府を含む複数の省庁が共管するのが適切ではないか」としている。
カジノ運営にあたっては、カジノの設置が認められた地方公共団体が、ゲーム機やサービス提供会社など関係する企業を「公募で選定」することを条件とする。国や地方公共団体、民間の役割を分け、きっ抗する関係に置くことで、癒着や天下りを避けるのが適切、との考えがあるためだ。
また、カジノ施設に機器やサービスを提供する民間企業に関しては、決められた書類を提出するなど一定条件を満たす必要があるという。
たとえば、米ネバダ州などカジノが定着している諸外国では、申請する企業が上場企業の場合は、有価証券報告書のほか、過去の税務調査内容、取引先リスト、現在の訴訟状況、5%以上の株主の詳細の提出を求めている。
5%以上の株主や、取締役、主要管理職などの個人については、本人とその家族の過去10年分の銀行取引明細、クレジットカードの取引明細、海外預金口座の明細のほか、確定申告書や家族を含む無犯罪証明書など詳細な書類提出を求めている。
基本方針として超党派の議員連盟は、カジノ運営の「業への参入はハードルを高く設定し、誰もが単純に免許を取得でき参入できることにはならないことを基本とする」、「適切な規制と法の執行があれば、カジノが犯罪の温床になることなどはあり得ない」──とも明記した。
現在、日本でカジノ運営は違法だが、自民党、民主党の議員で構成される超党派の議員連盟は、月内に召集される臨時国会に「統合型リゾート(IR)推進法案」の提出を目指している。同法案が成立すれば、2年以内に実施法が新たに国会に提出され、成立・施行されれば2019年にもカジノ第1号が開業する見通し。
カジノ解禁には慎重論も根強い。ただ、昨年末の自民党の政権復帰や2020年のオリンピック・パラリンピックの東京開催が決定したことが、解禁には追い風との見方もある。
日本でカジノが解禁されれば、マカオに次ぐ規模のカジノ産業に発展し、経済効果も大きいとの期待から、海外の娯楽大手、MGMリゾーツインターナショナル
こうした娯楽大手は、東京、大阪などの招致に関心を示しているが、日本国内ではこのほか、15カ所程度が候補地として名乗りをあげている。
今回、議員連盟がまとめた基本的な考え方では、候補地の選定プロセスの透明性を確保し、地方の自治体などが大都市と同じ条件のもと招致活動をできるようにすべき、と提言。また、カジノを運営できる都市数は、当面は一定数に限定し、運営面で問題が無いことや効果を見極めてから段階的に数を増やす方針も示した。
(ネイサン・レイン 編集;田巻 一彦)
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