北朝鮮は制裁逃れで2億ドル近く稼いでいた シリアに兵器供与も、国連報告書
[国連 2日 ロイター] - 国連の独立監視団がまとめた機密扱いの報告書によると、北朝鮮は2017年に国連安全保障理事会の制裁に違反した取引で2億ドル近くを稼いだ。また、シリアやミャンマーに武器を供与した疑いも指摘された。
報告書は安保理北朝鮮制裁委員会に提出するために作成され、2日にロイターが内容を確認した。これによると、北朝鮮は、ロシアや中国、韓国、マレーシア、ベトナムなどの港湾に石炭を輸出。書類には北朝鮮ではなくロシアや中国を原産地として記す手口が主に使われたという。
安保理は2006年以降、北朝鮮への制裁を段階的に強化しており、核・ミサイル開発の資金源を遮断する目的で、石炭や繊維品、海産物などの輸出を禁じてきた。
213ページに及ぶ報告書は、「北朝鮮は世界の石油サプライチェーンや共謀する外国人、海外の会社登記、国際銀行システムを悪用することで、最新の制裁決議を既に逃れている」と指摘した。
監視団はシリア、ミャンマーとの弾道ミサイル開発での協力も調査した。これには、2012─17年に実施された北朝鮮によるシリアの科学研究調査センター向けの取引40件以上が含まれる。弾道ミサイルや化学兵器の開発に利用可能な装備の輸送を含む、さらなる武器禁輸などの違反が明らかになったと報告書では書かれている。
また、シリアに向かう北朝鮮の船舶2隻に積まれた貨物の検査を行った結果、耐酸性のタイルが両方の船で見つかった。ある国は監視団に対し、化学工場の内壁に使うことが可能との見方を示した。
ミャンマーが北朝鮮から弾道ミサイル関連装備を受け取った証拠があると報告した国もあった。
ミャンマーの国連大使は取材に対し、「北朝鮮とは現在、武器の取引は全くない」として否定した。
監視団は1月から8月5日の間にロシア、中国、マレーシア、ベトナムの港湾に向け輸送された16件の石炭貨物も調査。このうち1つはマレーシアにより安保理北朝鮮制裁委員会に報告があったが、残る15は制裁に違反していた。
監視団は、昨年8月5日の安保理制裁決議で北朝鮮の石炭が全面禁輸となった後にロシア、中国、韓国、ベトナムの港湾に輸送された石炭貨物23件を調査。これら全てに制裁違反の疑いがあるという。
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