ありえない問題続く「サウジ砂漠鉄道」の悪夢 安価で受注したスペイン連合の悲哀

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12月31日に全行程を試運転する前に、2017年6月にはジェッダとメディナ間を関係当局の官僚を招待して最高時速300kmで試運転を行った。11月には招待客を呼んで同じ区間を走行。そして、最終的に残りのジェッダからメッカをつなぐ78kmを加えて450kmの全行程を走行したというわけである。

今回の試運転にはナビル・アル・アムディ運輸相をはじめ、関係当局の高官らも乗車。企業側からはサウジ国営鉄道の社長やスペイン側のコンソーシアムの社長らも同席した。さらに、スペイン政府代表として在サウジのアルバロ・イランソ大使が同行した。

鉄道は走れるのに、駅舎ができていない!

今回のパキスタン人運転士による試運転では駅での停車は行われなかったが、最終的に営業開始の暁には所要時間2時間11分を目標にしているという。まだ、信号機など安全保安装置(ERTMS)の配備が残されているが、営業開始は今年3月15日となっていた。

ところが、またもや問題が発生したのである。サウジの大手ゼネコン2社「サウディ・オジェール」と「ビン・ラディン」が受注した駅舎の完成が遅れており、少なくともあと1年の歳月が必要だというのである。スペイン側は公約を果たしているのに今度はサウジのゼネコンが遅れの要因をつくってしまった。

ジェッダ駅と空港をつなぐ駅を加えて全部で5つの駅(メッカ、ジェッダ、空港、アブドラ前国王、メディナ)の建設が計画された。メディナ駅が最初に完成する予定だという。

サウディ・オジェール社はジェッダ駅とアブドラ前国王に因んだKAEC駅の建設を請け負い、一方のビン・ラディン社はメッカ駅とメディナ駅をそれぞれサウジ鉄道公社から受注していた。メディナ駅とKAEC駅は建設が順調に進んでいるというが、ジェッダ駅とメッカ駅で工事に遅れが出ており、完成までに少なくともあと1年は必要だとしている。

背景にあるのは資金難だ。ビン・ラディン社は結局8万人を解雇するという事態に陥り、現在工事はトルコとサウジのジョイントベンチャー企業にバトンタッチされている。ちなみに、ビン・ラディン社の創業者ムハンマド・ビン・ラディンの息子のひとりが、あのテロリストのオサマ・ビン・ラディンであった。

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