1日2350本の電車を動かす「JR新宿駅」の全貌 埼京線から総武線まで全16ホームを徹底解説

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山手線の運行をつかさどる指令員は、ある列車が新宿到着を前に30秒遅れたら頭の中で対処方に考えが巡り始め、1分にまで膨らんだら前を走る列車に30秒の発車待ちをかけるなど、アクションを起こす。さもないと運転間隔が広がってしまった分の乗客が遅れた列車に集中することになり、ますます遅れが拡大してしまうからだ。

そのような混雑に加えて、新宿駅の騒々しさと混沌ぶりに拍車をかけているのが、依然として続く工事である。バスタ新宿側の工事に続いて現在は、地下通路の工事が盛んに行われている。東西改札内の北通路を拡幅し、広い自由通路を設けて地下を刷新するものだ。このため山手・中央緩行線から特急ホームを含む中央快速線にかけて、ホーム上はゴムの養生シートが敷き詰められ、しかも広い面積にわたり継ぎ接ぎであり、線路はH鋼の仮桁で支えられ、電車はその上をけたたましい音を立てて行き来している。

山手線と中央線各駅停車の組み合わせ

一方、そうした混雑を見せる山手線をとりあえず無事に運転することができるのは、同じホーム対面に発着する中央線の各駅停車が、さほど混雑しないことに助けられている面がある。中央線の利用者は快速指向が非常に強いため各駅停車のピーク1時間、最混雑区間の混雑率は都心の路線で唯一100%を割る。そのため、山手線の乗客であふれるホームに、それほど大きな負担を加えない。

『鉄道ジャーナル』3月号(1月20日発売)。特集は「山手線と新宿駅」。画像をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

なお8時台の運転本数は中野方面行き24本、御茶ノ水方面行き22本であるが、この本数は直通路線の総武線内の輸送に対応するものだ。総武緩行線の両国付近は逆に、今でも首都圏ワーストとされる混雑率となっている。仮に、山手線ホームが中央線快速や埼京線とペアを組むような構成だったら、とても対応しきれない状態になるはずである。

山手線と中央総武緩行線では、今まさに電車にも変化が生じている。山手線にはこれまでのE231系500代に代わる新型のE235系が投入されている。一方、そのE231系500代は小改造や帯の張り替えを経て中央総武緩行線への投入が進められている。それによって捻出される中央総武緩行線のE231系が武蔵野線に転属し、武蔵野線の205系を淘汰する手順である。

方形の顔立ちが特徴的な新車、E235系も順調に増え、次第に接する機会が増えてきた。最後部の行先表示には高輝度LED表示装置により季節に応じたアニメーション画像を表示しており、黄色いイチョウが終わった後、年末の現在はピンクのシクラメンの絵を輝かせている。

鉄道ジャーナル編集部

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車両を中心とする伝統的な鉄道趣味の分野を基本にしながら、鉄道のシステム、輸送の実態、その将来像まで、幅広く目を向ける総合的な鉄道情報誌。創刊は1967年。

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