ラスベガスを走る「自動運転タクシー」の正体 ライドシェア大手と部品会社が手を組んだ

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目的地を決めてしばらくすると、迎えに来るタクシーが決まり、アプリ上にはタクシーの位置情報を示す車の絵が出現。迎車の時間と、目的地に到着する時間も表示される。ここまでは、通常のタクシー配車と同じ手順だ。

リフトのアプリで配車を依頼すると、車の居場所と到着予定時間が表示される(写真はリフトのアプリをキャプチャしたもの)

唯一異なるのは、事前に同意書へのサインが求められたことだ。同意事項には、「自動運転車に乗車することによって深刻なケガや死に至るリスクがあることをよく理解している」など、ドキリとする文言もあるが、背に腹は変えられない。

しばらくして、タクシーがやってきた。今回アプティブが自動運転技術を搭載したのは、独BMWのセダン「5シリーズ」。車体には、車の“目”として360度をカバーする21個のセンサー、カメラとライダー(レーザーによる位置測定システム)のセット、そして2種類のレーダーなどが搭載されている。

なお、自動運転車両の中には、ぐるぐると回るライダーが屋根の上に搭載されることも多い。その点、同車の場合は車体をぐるりと囲むように上手く組み込まれているため、一見して自動運転車とはわからないスマートなデザインだ。車内前方に設けられたディスプレーには、これらで認知したものや車体の走行位置が、色分けされた線や囲みによって逐一表示されるようになっている。

ドライバーは手をハンドルから離した

よく見ると通常の車にはないセンサー類が多数取り付けられていることがわかる(記者撮影)

いよいよ出発。後部座席の画面に表示された「Start ride」のボタンを押すと、車は発車した。駐車場から出るまではドライバーがハンドルを握るが、いざ公道に出た途端、その手は膝の上に置かれてしまった。ここからが自動運転モードだ。

平日の昼間にもかかわらず、道は相変わらずの大渋滞。周囲からはクラクションの音も聞こえてくる。自動運転タクシーはほかの車よりも車間距離をしっかり取りながら、少しずつ進む。途中、やや気になったのは前を走る車が急ブレーキを踏んだときのこと。これを検知したタクシーは、ドライバーの補助なしに「キキッ」という音とともに急停車したが、車間距離は十分にあり、やや過剰な反応に思えた。

このシーンをのぞけば、あとは安全運転そのもの。車線の間の並木に隠れた人間もレーザーがすべて把握し、パリスホテルまでの10分程度のドライブはあっけないほど快適に終わった。

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