アーバンパークライン「改称」は定着したのか 鉄道路線の愛称、浸透しないケースも
次に、「東武スカイツリーライン」「東武アーバンパークライン」について見てみよう。東武鉄道では、2012年3月17日から伊勢崎線浅草駅・押上駅―東武動物公園駅間に「東武スカイツリーライン」の愛称を制定し、使用開始した。浅草駅・押上駅―東武動物公園駅間の沿線自治体10のうち、愛称のみ使用・愛称優先を合わせ3自治体が使用している。
また、2014年4月1日からは野田線大宮駅―船橋駅間に「東武アーバンパークライン」の愛称を制定した。だが、野田線の沿線自治体9のうち、愛称のみを使用、または優先的に用いている自治体は千葉県柏市のみで、正式名である野田線の使用を優先する自治体のほうが多い。
柏市土木部交通政策課は「東武鉄道からの要請を受けて調整した結果、市の公式ホームページでは愛称を優先的に使用することになった」と説明する。
一方、正式名である野田線を優先的に使用し、愛称を併記している野田市の企画財政部企画調整課は「東武鉄道から愛称使用に関する要請はなかったが、同社が愛称名を用いていることを考慮し、正式名に併記することにした」と説明しつつ、「愛称を用いると野田の名前が消えてしまう。当市としてはこれからも正式名を用いていく」と述べ、愛称名に対する複雑な思いを隠さない。
東武鉄道広報部は「イメージアップとPRのために『東武スカイツリーライン』『東武アーバンパークライン』を制定し、旅客案内、駅での掲示、車内放送などで使用している。しかし、正式名に愛着をもつ人もいるため残している」と、愛称と位置付けている理由を説明する。
不動産会社は愛称を避ける?
不動産会社ホームページの物件検索の路線名は正式名での記載が多い。例えば、不動産検索サイト5社(SUUMO、CHINTAI、いい部屋ネット、HOME'S、Yahoo!不動産)について調べた結果、「宇都宮線」は2社(うち、正式名との併用1社)、「東武スカイツリーライン」は1社(正式名との併用)、「東武アーバンパークライン」1社(正式名との併用)という結果であった。JR西日本東海道本線の大阪駅―京都駅―米原駅間の愛称である「JR京都線・琵琶湖線」も1社(正式名との併用)という結果だった。
不動産会社「ホンダ地所」(東京都墨田区)の本多平学社長は「当社では当初、紹介物件の路線名を『東武スカイツリーライン』にしたものの、『愛称ではわからない』という意見が多く、短期間で伊勢崎線に戻した。不動産業者間の流通データベースでは伊勢崎線のままであることが多い」と証言する。不動産業界ではこれらの愛称名の定着度は高くないと言って差し支えなさそうである。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら