定年退職後におカネで失敗しないための心得 退職金を大切に、現役時代の金銭感覚は危険
ワンルームマンションのオーナーにならないかという勧誘もあります。「家賃収入で豊かな老後」といったフレーズは魅力的に聞こえます。
また、これまで手を出したことがないにもかかわらず、退職金をつぎ込んで株式投資を始める豪快な人もいます。
不動産投資、株式投資で資産を増やすのもいいと思いますが、やはり知識ゼロの状態で成功するほど甘くはない世界です。1度も投資経験がない人がいきなり始めて、うまくいった話は聞いたことがありません。
詐欺
退職金を狙った金融商品の詐欺も少なくありません。「未公開株」「海外不動産」「FXファンド」「海外コイン」「動物・植物などへの投資」など、手口はさまざまです。
「自分だけは大丈夫!」と思っている人は、特に危険です。うまい話には裏があると疑ってかかったほうが無難でしょう。
定年後は「第二の人生。長年温めてきた夢を実現させる」とばかりに、起業する人もいます。
しかし、始められることと成功するかどうかは別ものです。
蕎麦打ちの修業をして店を開く、300万~400万円かけて自費出版するなど、ケースもいろいろ。話もよく聞きますが、残念ながらほとんどの場合はうまくいきません。夢を追うのは悪いことではありませんが、現実の生活を考慮せず、もしも失敗したら、虎の子の退職金がゼロになり、さらには借金まで背負い込むおそれもあります。
そのほか、長年頑張って働いてきた自分へのご褒美もかねてと考えるせいか、世界一周クルージングも人気です。この豪華な船旅は1人につき、だいたい200万円はかかります。夫婦で出掛ければ、いっぺんに400万円が吹き飛びます。
また、暇を持て余してギャンブルにハマったり、キャバクラへ通い詰めたりして散財するケースも見受けられます。
退職金は大切な老後資金です。後先考えず一気に使ってしまっては、途中で底をつくか、その後の生活をかなり切り詰めなくてはならなくなる可能性があります。
60歳以降の人生を成功させるかどうかは、それ以前に立てた入念な計画にかかっているといっても過言ではありません。
定年後の生活設計において、「おカネ」は重要なキーワードです。世知辛い話に聞こえるかもしれませんが、暮らしていくうえでおカネが欠かせないのも事実。これから先のおカネを考えることによって、定年後のイメージがより具体的に、そして現実的になってきます。
手持ちの老後資金と年金などの収入で、働かなくてもある程度は大丈夫なのか。もう少し働いたほうがいいのか。それとも、無理をしてでも働けるだけ働くべきなのか。大切なのは、経済的な側面から見えてくる方向性です。