北朝鮮に米軍が地上侵攻したらどうなるのか 「流血の大惨事になる」と専門家は警告
「米韓両軍は対立が戦争にエスカレートする前に核兵器を掌握しようとするだろう。北朝鮮の核攻撃だけは阻止しなければならない」
北朝鮮との戦争では「非常に短期間で相当数の死者が出る」とフィッツパトリックは警告する。実際、朝鮮戦争では約3万3000人の米軍兵士を含め数百万人が犠牲になった。たとえ核兵器が使われなくても、北朝鮮と韓国の死者は戦闘開始後あっという間に100万人以上に達すると、フィッツパトリックはみている。
「北朝鮮は恐らく、戦闘開始後のできるだけ早い段階で核攻撃を行おうとすうるだろう。攻撃対象はたぶん在日米軍か在韓米軍、もしくはその両方だ」
ただしアメリカが北朝鮮の金正恩政権を相手にわざと戦争を始めるとは思わないと、フィッツパトリックは言う。「米朝戦争が勃発するとしたら、最もありそうなのは、米政府の声明や行動を北朝鮮が誤解した時だ」
望ましい軍事的選択肢など1つもない
韓国には約2万4000人、日本には約4万人の米軍兵士が駐留している。一方、北朝鮮軍の兵士は約120万人で、1万1000人規模の砲兵部隊と60発程度の核兵器を保有すると見られている。技術力も含めた軍事力ではアメリカが北朝鮮を圧倒しており、負けるのは北朝鮮だろう。だがアメリカが北朝鮮と戦争を始めれば、数百万人の市民が犠牲になる、という見方が大勢だ。
米軍の軍事作戦に対して北朝鮮が核攻撃で報復すれば、10万人の在韓・在日アメリカ人を含めて数百万人の市民の命が危険になる。そうなる前に、北朝鮮の核兵器をアメリカが完全に破壊できる保証はどこにもない。
米議会調査局が10月下旬に発表した報告書は、米朝戦争が起きた場合、通常兵器しか使用しない場合でも、最初の数日で最大30万人が死亡すると推計した。米ジョンズ・ホプキンズ大の北朝鮮分析サイト「38ノース」が10月に発表した別の報告書は、もし北朝鮮が韓国の首都ソウルと東京を核攻撃した場合、両都市で死者が最大210万人に上ると推計した。
北朝鮮に対する望ましい軍事的選択肢など1つもないと、多くの人が感じるのは当然だ。
(文:ジョン・ホルティワンガー/翻訳:河原里香)
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