要注意企業はココで見抜け! ”継続企業の前提に疑義あり”
サブプライム問題をきっかけに世界経済の減速感が一段と強まってきた。企業業績も2008年度は7期ぶりの減益が確実な情勢のなか、経営破綻も増えている。建設不動産を中心に、今年に入っての上場企業の破綻はすでに2けたに乗った。
このような中、改めて注目しておきたいのが、いわゆるゴーイングコンサーン、つまり「継続企業の前提に疑義の注記」だ。要注意企業の究極の見分け方の一つだ。今年破綻したスルガコーポレーションやゼファーなどの決算書には破綻する前からこの注記が付けられていた。決算書の後半に付けられるこの情報は、投資家にとって、最重要のウォーニング(警報)とも言えるものなのだ。
決算書は会社が継続することを前提に作られる。資産を将来にわたって費用配分する減価償却費などはその典型だ。が、状況によっては継続を前提に決算書を作ることに疑義が生じる場合がある。債務超過や、赤字続きで資金繰りが行き詰まりつつある場合や、今後の営業に重大な支障が生じることが明らかな場合だ。
そうしたとき、継続企業の前提に疑義が生じているとして、経営者はその事実と今後の解消策を決算書で書かなければならない。
たとえば飛島建設(1805)は、前期に営業赤字とマイナスの営業キャッシュフローを計上、最終赤字は7期連続、第1四半期もゼファーの民事再生で取り立て不能債権が発生し12億円の最終赤字となったことなどを列挙。継続企業の前提に関する重要な疑義が存在していることを2008年度第1四半期の決算書に明記した。さらに土木・建築事業の分離、支店・営業所の絞り込み、200人の早期退職の実施、間接部門経費の16億円削減などで、通期黒字を果たす計画も記した。
記事末尾のリンクで挙げた会社は、どれも決算書に同様の詳細な記述をしている。疑義が生じた理由として多く挙げられているのは、連続赤字や前期の巨額赤字。融資の際の財務制限条項に抵触し、繰り上げ返済を迫られ、資金繰りが厳しくなっていることを挙げる会社も、ビジョンメガネ(7642)など複数あった。
注記を決算書に付けるに当たって、監査法人と対立するケースもある。マンション分譲業者のシーズクリエイト(8921)。継続疑義を払拭するための記述について、新日本監査法人と合意に至らず、四半期報告書を期限から15日過ぎても提出できなかった。この混乱で、8月29日、シーズは新日本との監査契約を解約。別の会計事務所を一時会計監査人に選任した。東京証券取引所は、シーズを監理銘柄に指定。さらに9月28日までに四半期報告書を提出できなければ上場廃止にする、とした。週明けの9月1日、シーズの株価はストップ安となった。
タスコシステム(2709)も、継続疑義の注記に記す今後の経営計画で、KDA監査法人から理解を得られなかった。結局、2008年6月中間決算について、「監査意見不表明」の監査報告書を受けることとなった。監査意見不表明は、財務諸表に対する意見表明ができないほど、会計記録が不十分であったり、監査証拠の入手が困難であった場合にのみ出されるもの。その決算書は信用できないと言われているに等しい。
継続疑義の注記が付いた会社は、何とかそれが外れるよう努力する。だが、黒字になったからといって簡単に注記が外れるわけではない。松尾橋梁(5913)は07年3月期に26億円の営業赤字に陥り、継続疑義の注記が付いた。翌08年3月期には営業利益以下すべてが黒字化。だが、主力事業である鋼構造物事業が営業赤字であったことから、継続疑義の注記が外れることはなかった。
>>>「継続企業の前提に疑義の注記」を付けた主な会社(1)
>>>「継続企業の前提に疑義の注記」を付けた主な会社(2)
(週刊東洋経済)
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