立憲民主党、「野党第1党」への道が見えてきた 自民党の聖地「秋葉原」でも大量動員に成功

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10月19日18時50分。JR秋葉原駅のホームに降り立つと、駅の外の広場に集まった傘を持つ人たちの集団が見えた。19時に始まる立憲民主党の街宣に集まった人々だ(筆者撮影)

「多くのみなさんが今の政治に不満やいらだちを覚えていた。政治が国民のみなさんから離れてしまった。私も24年国会にいたひとりとして、大きな責任を感じている。いまこそ本当の民主主義をこの国でスタートしようじゃありませんか」

壇上の枝野氏が話す都度、歓声とともに大きな拍手が鳴り響く。その内容は前日に池袋駅前で行われた安倍首相の演説とは好対照だ。安倍首相は北朝鮮の脅威について拉致問題を皮切りに多くを語った。しかし枝野氏が重点を置いたのは国民の生活だ。

「いま健康でそこそこの稼ぎがあって、自分は勝ち組だと思っているあなたも、もしかすると明日病気になるかもしれない、事故に遭って体が不自由になるかもしれない。それが私たちの人生ではないか。そんなときに、困ったときにしっかりと寄り添う、自分の力だけではどうにもならないときにそれを支える役割、それが政治ではないか、まっとうな政治ではないか」

枝野氏が一気にまくしたてると、一段と大きな歓声と拍手が沸き起こる。貧困や格差社会は国民にとって最も大きな脅威だ。北朝鮮の脅威も怖いが、さらに心配しなくてはいけないのは自分たちの将来だと考える国民は少なくない。

自民党は立憲民主党の躍進に警戒

選挙戦が進むにつれて国民からの支持を広げつつある立憲民主党だが、早急には与党を脅かす存在ではない。各社の情勢調査によれば、自公が獲得する議席数は300前後で、公示前の318議席(自民党284議席、公明党34議席)よりは減らすものの、微減程度だろう。大勢に影響はないと見られている。

だが、次の衆院選以降はどうなるか。ある自民党前職の秘書は危機感を込めて次のように筆者に語った。「僕は次の衆院選は次の参院選(2019年)とダブルになると見ている。今回の衆院選で安倍政権は続投して来年の総裁選で3選となるだろうが、東京五輪がある2020年まではもたないかもしれない」。

選挙後、立憲民主党のもとにリベラル勢力が結集する、という条件付きではあるが、大きな存在感を放つことになりそうだ。

安積 明子 ジャーナリスト

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あづみ あきこ / Akiko Azumi

兵庫県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。1994年国会議員政策担当秘書資格試験合格。参院議員の政策担当秘書として勤務の後、各媒体でコラムを執筆し、テレビ・ラジオで政治についても解説。取材の対象は自公から共産党まで幅広く、フリーランスにも開放されている金曜日午後の官房長官会見には必ず参加する。2016年に『野党共闘(泣)。』、2017年12月には『"小池"にはまって、さあ大変!「希望の党」の凋落と突然の代表辞任』(以上ワニブックスPLUS新書)を上梓。

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