9月は「暴落の月だからヤバイ」は正しいか 「米本土テロ」や「リーマン」の悪夢がよぎる
こうして見てみると、金融政策の行方をめぐっての見方が、相場の材料になることが多いようです。過去の1997年、1998年、2001年、2015年は8月に1000円以上の下落幅となり、9月も尾を引くかたちとなりました。つまり、9月は8月を引きずることが多いようです。今年の8月の高値と安値の値幅は約833円と、過去20年間の8月でみると比較的小さな値動きとなりましたが、9月も19~20日のFOMC(米連邦公開市場委員会)までは動きづらそうです。
1日あたりの売買代金がどこまで増えるかを見極めよ
さて、テクニカル分析をすると、相場のタイミングでこの先重要なのは、9月15日~9月20日頃かもしれません。そこは、トランプショック時の日経平均株価の安値から最初の山(安値→高値→安値のサイクル)を形成した「107日」を、4月14日安値から将来に当てはめたタイミングです。次回の米国のFOMC(連邦公開市場委員会)に絡んでくるところでもあります。「5月に売って、セント・レジャー・デー(9月の第2土曜日)まで戻ってくるな」という米国の相場格言が、今年も市場に戻ってくるヒントになるかもしれません。そこまでの間に、これ以上下落幅が広がらなければ、10月の意外高はあるかもしれません。
そのポイントになるのは、売買代金です。今年に入ってからの東証1部の売買代金を、日経平均株価の200円刻みの価格帯別で分けてみますと、1万9900円~2万0100円の水準が78兆円と最も多く、直近の8月29日の安値(1万9280円)は2番目に多い58兆円の1万9300円~1万9500円の水準で支えられました。つまり、2万円付近からは上値が抑えられやすく、1万9400円付近からはサポートになりやすいといえます。
1万9900円以上で推移した6月~7月の1日あたりの売買代金が2兆3000億円程度ですので、今後その程度まで売買代金が増えれば、4月17日安値からの上昇局面のように、年初来高値(2万0318円)を一気に更新していく可能性が高まります。一方、2兆円を下回るような低迷が続くようですと、2万円を突破するのは難しくなり、当面はよくてボックス相場へ、でしょうか。8月29日の安値(1万9280円)を明確に下回るようだと、10月に向けてもっと下げることが予想されます。
次の上昇局面に向けて、また、下げたときには何に注目すればいいでしょうか。筆者は、8月相場で弱かった、特に不動産や証券、銀行、保険といった内需金融株への下値買いが有効とみています。
逆に言えば、そういった内需の主力株が買われないと2万円を超えていくのは難しいと思いますし、配当利回りが高い銘柄が多く、9月後半に向けては十分、相場を動かす材料となる業種だと思われます。実は、米国市場も、ナスダックが相変わらず強さを見せていますが、足元の上昇のけん引役はバイオ関連です。しかし、あまり長続きしそうにありません。最近までのハイテク株を物色する流れから、金融株にシフトする幕間つなぎに過ぎないのではないでしょうか。
さて、私が所属している非営利の団体・日本テクニカルアナリスト協会(NTAA)では「テクニカル分析についてもっと学びたい」という読者の方々のために、有名な「ボリンジャーバンド」の開発者であるジョン・ボリンジャー氏を東京(11月18日土曜日)と大阪(11月25日土曜日)にお招きし、セミナーを開催いたします。もちろん、日本語の通訳もつきます。
ボリンジャー氏が自ら開発した「武器」を使って日本株を分析すると、どのように映るのでしょうか?今後は上昇でしょうか、それとも下落でしょうか。実は、筆者もボリンジャー氏を囲むパネルディスカッションのパネラーとして参加し、意見させていただきます。ご興味のある方は、こちらから、ぜひお申し込みください。
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