「太っていく彼に魅力を感じない」女性の真意 見た目で人を判断するのは浅はかなのか
おカネを払えば細い体や永遠の若さ、完璧な腹筋やシワのない顔などを手に入れられるという幻想で、この消費社会のどれだけの部分が成り立っていることか。その業界を支えているのは、私たちの体に対する不安なのです。
だから、企業はそんな不安をあおろうとします。そして私たちはその不安を人間関係にまで持ち込んでしまう。「間違った選択を恐れる女」さん、あなたは自分に「問題がある」のではないかと心配していますが、問題があるのは社会のほうなのです。
性的な理想を追い求めるのは危険
ストレイド:だからといって、肉体的な魅力など関係ないと言っているのではありません。もちろん重要です。特に、あなたが言うように、長期的な関係においては。でも、その欲求は自分が起点となります。肉体的な関係において何を求めるのか、それは自分で考えなければなりません。
あなたの彼の体重は、あなたにとって致命的な問題ですか? その可能性もあります。あなたには、自分の好みを持つ権利もあります。でも、性的な理想を追い求めるのは危険です。短期的には理想の人だったとしても、それをずっと維持することは誰もできないのです。80歳になっても、30歳で結婚した相手とベッドを共にしている人に聞いてみるとよいでしょう。
年をとると誰でも外見は変わっていきます。体重が増えたり、シワや白髪ができたり、もっと目立つ変化もあるかもしれない。誰かを長いあいだ愛するということは、そんな変化を愛するということでもあります。長期的な関係を保っている人たちは、体の面でも別の面でも、パートナーが変わっていくのを受け入れているのです。
アーモンド:あなたは、あなたが自分を傷つける傾向があるということを知っています。いままでに経験のないほどに大切なつながりを感じたときにも、そんな傾向が働くとしたら、それはつらいことですね。それで、状況を混乱させるうえで最もよい方法が、彼の体重増という問題を指摘することだったのかもしれません。
でも、シェリルが指摘したように、それが初めて起こったときに、あなたは冷静になって彼があなたにとってどんな人なのかじっくり考えてみた。すると、「これからもっと体重が増えそうな彼を愛せるのか」という疑問は、霧が晴れるように消えていきました。それは偶然ではありません。あなたは、あなたが思うほど浅はかな人ではないのです。
(執筆:『ディア・シュガーズ』ホスト、Steve Almond, Cheryl Strayed、翻訳:東方雅美)
© 2017 New York Times News Service
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