ミサイル迎撃の陸上イージス配備は2023年度 5年以上も先で、最新レーダー搭載は不透明
[東京 30日 ロイター] - 日本が導入する迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の配備時期が、今から5年以上先の2023年度になる見通しであることがわかった。北朝鮮の脅威が高まる中、政府は計画の前倒しを急ぐが、最新鋭のレーダーを搭載できるかどうか米国から確約を得られておらず、射程や速度を向上させた新型迎撃ミサイルの能力を最大限引き出せない可能性がある。
発注から配備まで5年
イージス・アショアは、イージス艦に搭載しているミサイル防衛システムを地上に配備した装備。レーダーやミサイル発射装置などで構成される。開発国の米国は、北大西洋条約機構(NATO)のミサイル防衛の一環としてルーマニアに配備している。
日米の複数の関係者によると、イージス・アショアを発注してから配備までにかかる期間は約5年。システムを構築し、試験を重ねる必要がある。さらに設置場所を確保し、住民の理解を得る時間もかかる。メーカーである米レイセオン<RTN.N>とロッキード・マーチン<LMT.N>が、すでに米軍向けの受注を抱えているという事情もある。日本は2018年度から整備に向けて動き出すが、関係者の1人は「配備は2023年度になる」と話す。
事前予告なしに日本を飛び越えて弾道ミサイルを発射するなど、北朝鮮をめぐる情勢は一段と緊迫している。与党・自民党などから弾道ミサイル防衛の強化を急ぐよう求める声が強まっており、政府関係者は「できるだけ急ぐ。イージス・アショアの配備までは現有戦力で最大限対応する」と話す。
しかし、どこまで配備を速められるかどうかは不透明だ。日本はイージス・アショアのレーダーに、探知性能を大幅に向上させた最新鋭の「スパイ6」の搭載を希望しているが、米軍が同レーダーの運用を始めるのは22年。