残念な営業は仕事の優先順位がわかってない 顧客訪問を減らさないスケジューリング術
すると、クライアントさんから「大岩さんは最近、うちの会社に営業に来ている姿を見かけない」という噂が広まってしまったのです。この噂は、客先の他部署や同業者にも知れ渡ってしまい、相当気まずくなったということがありました。まさに営業マンとしては本末転倒。確かにデスクワークも必要な仕事ではありますが、肝心な営業マンとしての評判を落としてしまっては、何の意味もないどころか逆効果でした。
もう1つ苦い経験をお話すると、私がパソコンメーカーで営業をしていたときです。当時は愛知、岐阜、三重の家電量販店に対して、1人で営業と一部の内勤の仕事をしていました。内勤の仕事には、データー作成や管理から、不良品の処理と発送、梱包作業などもありました。営業所には、幸い私1人しかおらず、言い方は悪いですが、見張りがいないため、つい内勤の方に力が入ってしまっていました。全く外出していなかった訳ではありませんが、営業する範囲が広いため、遠方や、売上の少ない店舗に行く頻度が減るのは仕方ありません。ですが、メインの店舗まで訪問する回数が減ってしまったのです。
その結果、当然売上は徐々に下がっていきました。一度下がった売上を元に戻すのは、非常に大変なことです。当然ながらクライアントさんからは、売上の損失だけでなく、私という営業マンの信用まで失ってしまったのです。
何よりもダメージが大きいのは、この「信用を失うこと」です。クライアントの担当者に信用してもらうためには、多くの時間を費やします。しかし、信用というのは構築する時間はとても長くかかるのに対して、失うのは一瞬です。そしてこの失った信用を取り戻すためには、最初に築いたとき以上の努力と時間を必要とするのです。
文字に起こして業務を把握する
実際、ベテランの営業マンでさえも、デスクワークに時間を取られて外回りをないがしろにしてしまうことがあります。業務に不慣れな新人のあなたなら、なおのこと陥りやすい事態といえます。では、新人のうちからこうした状況を避けるには一体何を意識しておけばいいのでしょうか。
私がおすすめするのは、以下の2つの方法です。
1つめは「仕事に優先順位をつけること」。営業マンにかかわらずどんな職種でも業務をこなすうえで必要な処理能力ですが、この「優先順位」を整理するのが苦手な人はけっこう多いのが実情です。営業マンであるあなたの場合、第一に優先させるべきはクライアントとのアポです。営業マンは外に出てナンボです。デスクワークはお金を生む作業の1つではありますが、クライアントと数多く顔を合わせることが、最も重要な仕事です。よって、このクライアントとのアポを第一優先にします。要するに、まず先にアポのスケジュールを固め、そのスケジュールを前提にデスクワークの時間割りを考えていくのです。これを習慣付けることがポイントです。