大阪市「地下鉄民営化」後の険しい道のり

値下げや関連事業、市の予測は実現できるか

現行の大阪市交通局の人件費は他の鉄道会社と比較してどのような水準にあるのだろうか。1営業キロメートル当たりで人件費や鉄軌道業に従事する職員数、給与総額を求め、東京地下鉄と比べてみると意外な結果となる。いま挙げた3項目とも東京地下鉄のほうが多いのだ。

1営業キロメートル当たりの数値を大阪市交通局、東京地下鉄の順に挙げると、人件費は3億7000万円に対して4億3000万円、鉄軌道業に従事する職員数は39.1人に対して46.5人、給与総額は3億円に対して3億4000万円とすべて東京地下鉄が上回っている。東京地下鉄との比較では、大阪市交通局はいまの段階でも過大な人件費は支払っていない。

給与水準引き下げは必須

人件費のうち最も大きな比率を占める給与についてさらに細かく考察してみよう。やはり一番の関心事は職員1人当たりの年間平均給与に違いない。大阪市交通局の場合、この金額は約754万円でJR7社の約675万円、民営鉄道の約646万円を上回るほか、公営鉄軌道の約731万円よりも高い水準にある。

とはいえ、国土交通省の統計には職員の平均年齢が載っていないので判断は難しい。大阪市交通局の職員1人当たりの年間平均給与を南海電気鉄道並みに下げるべきだと主張した人がいたが、同社の数値は大手民鉄だけでなく民営鉄道全体のなかでも低く、他社と比べて平均年齢が低いとも考えられる。それに、JRや大手民鉄並みと言っても、JR東海や阪急電鉄のように大阪市交通局を上回る鉄道事業者も存在するのだ。

だが、人件費の削減は必須だ。大阪市交通局の職員1人当たりの年間平均給与を関西の大手民鉄5社(近畿日本鉄道、南海電気鉄道、京阪電気鉄道、阪急電鉄、阪神電気鉄道)の約671万円という水準に引き下げるというのが現実的であろう。職員数は大阪市交通局の5388人と同じと考えると、高速鉄道事業会社の給与総額は361億円となり、48億円分減らすことができる。

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