セーラームーン愛すオトナ女子の覚めない夢

伊勢丹のブランドなどと25周年コラボ続々

セーラームーン世代の女の子は「世界のために命を懸けて戦う、カッコイイ女の子」の背中を見て育った。

「愛され守られる、柔らかなアイドル」から「世界のために戦う、スタイリッシュな美少女戦士」へ。セーラームーンは、アニメを見る女の子の「あこがれ」そのものを変えた。

セーラームーンの意外な視聴率・売り上げ

セーラームーンは女児向けアニメの中でも、ファッションとの親和性が高い。もともとのキャラクターデザインがスタイリッシュで成人女性のイメージと絡めやすいだけでなく、衣装はセーラー服で統一され、カラーやアクセサリー、武器で差別化を図るためモチーフを取り入れやすい。また、豪華すぎないデザインは、そのまま応用のしやすさに繋がっている。

そして、当時の女児たちにとってセーラームーンは「りりしさ」の象徴だ。普段はドジで失敗だらけでも、決めるときは決める。使命のためなら命も懸けるし、倒されても立ち上がる。守られるだけの女の子などいない。プリンセスは誰よりも強く、率先して悪の親玉と戦う。その姿は、魔法でアイドルになってちやほやされる夢物語よりも、よほど現実に近いだろう。

実はセーラームーンの視聴率、原作コミックの売り上げはそれほど圧倒的なわけではない。最高視聴率、原作コミックスの売り上げともに歴代ランキングの100位に入っておらず、意外と控えめだ。また、ドラゴンボールやNARUTOのように海外で販売が著しく好調ということもない。もともと、コミックスの売り上げは少年漫画のほうが上がりやすく、視聴率はドラえもんのような年齢・性別を問わないアニメのほうが高くなる傾向があるが、それでも知名度の割に各種データは低い。

これは「○○周年企画」が打ちにくいということを意味する。視聴率やコミックスの売り上げが振るわなければ、当然ながら新作や劇場版といった企画は立てにくくなる。実際、セーラームーンの新作アニメ企画は発表から二転三転を繰り返し、何回かの延長の末にWebでの放映からスタートした。このような顚末からしても、セーラームーンは従来のような「○○周年企画」を打つには不向きな題材と言えなくもない。

だからこそ、セーラームーンの記念企画は「広く薄く」ではなく「狭く深く」ターゲットを絞り込んでいる。

思い出の品集めから、背筋が伸びるスイッチへ

大人になった少女たちは、社会に出るにはメイクアップが必要だと知っている。世界を救うなんておおごとではないけれど、自分達は戦いの中にいると知っている。

セーラームーン25周年コラボは、オトナ女子が戦士であるがゆえに「思い出の品集め」よりも「思い出を実用化する」という企画なのである。

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