80代オスカー俳優集結「ジーサンズ」の奥深さ 東洋経済オンライン読者限定試写会を開催!

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東洋経済オンライン読者限定 独占先行試写会開催!『ジーサンズ はじめての強盗』の読者限定の試写会を開催いたします。ご応募はこちら

3人の主人公それぞれの人生にスポットライトを当てながらも、テンポ良く描写を積み重ねながら物語は進む。劇中にはアル・パチーノ主演の銀行強盗映画『狼たちの午後』(1975年)や、『オーシャンズ11』(2001年)のオリジナル版であるフランク・シナトラ、ディーン・マーティン、サミー・デイヴィスJr.出演の『オーシャンと十一人の仲間』(1960年)といった往年の犯罪映画へのオマージュなどもちりばめられており、観客を楽しませてくれる(もちろん元ネタを知らなくてもまったく問題ない)。

主人公の3人、ジョー(ケイン)、ウィリー(フリーマン)、アル(アーキン)は、ニューヨーク・ブルックリンの製鉄所で40年働き続けてきた。アメリカでも労働者が製造業からサービス業にシフトしてきているが、製造業に40年間も従事してきたということは、彼らがコツコツとマジメに働き続けてきたアメリカ人の象徴ともいえる。

「三匹のおっさん」より破天荒な「三人のジーサン」

そんな彼らが問題だらけの住宅ローンにだまされるように契約させられて家を取りあげられそうになり、さらに年金が白紙となるなど、諸問題が彼らの身に降りかかる。その一方で、利益ばかりに目がくらみ、顧客と親身に向き合おうとしない銀行員の存在が彼らをいらつかせ、ついにイライラが爆発することになる。ここも金融業ばかりが優遇されてきた、アメリカ社会への反抗という見方もできる。

北大路欣也、泉谷しげる、志賀廣太郎による「三匹のおっさん」ならぬ、アメリカ版「三人のジーサン」たちは、年金を取り戻すべく人生最大の大勝負に打って出る。この無謀なチャレンジにいかにして立ち向かっていくのかが見物だが、80代「三人のジーサン」たちの奮闘ぶりを通して、現代社会のさまざまな“うっぷん”を晴らすのにちょうどいい。もちろん犯罪を奨励するつもりはないが、それでもフィクションの世界くらいは、大笑いしながらスカッとしたい。

壬生 智裕 映画ライター

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みぶ ともひろ / Tomohiro Mibu

福岡県生まれ、東京育ちの映画ライター。映像制作会社で映画、Vシネマ、CMなどの撮影現場に従事したのち、フリーランスの映画ライターに転向。近年は年間400本以上のイベント、インタビュー取材などに駆け回る毎日で、とくに国内映画祭、映画館などがライフワーク。ライターのほかに編集者としても活動しており、映画祭パンフレット、3D撮影現場のヒアリング本、フィルムアーカイブなどの書籍も手がける。

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