JR東西の豪華列車、結局どっちがスゴいのか 価格帯の豊富さは西、予約倍率は東に軍配
第1期の予約状況を見ると、四季島のほうが瑞風より人気が高いという結果になった。ただ応募件数は瑞風のほうが多い。瑞風は設定部屋数が多いため倍率が下がったという点には留意しておくべきだろう。
ところで、クルーズトレインの先駆け、JR九州(九州旅客鉄道)の「ななつ星 in 九州」の運行開始当初(2013年)の申し込み状況はどうだったのだろうか。ななつ星は応募件数814件で平均倍率7.27倍、最高倍率76倍だった。つまり、四季島、瑞風と同レベルだ。
ただ、ななつ星の最新の応募状況を見ると、2017年3~9月出発分は応募件数3774件、平均倍率22.5倍、最高倍率は102倍。スタート直後よりも人気がぐんと高くなっている。四季島と瑞風もななつ星のように運行開始後に人気をさらに伸ばせるだろうか。
続いて、車両の内装を比較してみた。10両編成で、展望車が2両、ラウンジカーと食堂車が1両ずつ、客室車両が6両という車両構成は両者とも同じだ。
四季島のデザインを担当したのは、インダストリアルデザイナーの奧山清行氏。フェラーリのデザインで知られるが鉄道分野でも活躍している。車内デザインについては「日本の伝統美と現代アートを融合させた」と、奧山氏は語る。
金属やガラスを使って花や木々のようなデザインを形作るアールヌーボー建築が19世紀末~20世紀初頭に流行したが、奧山氏は鉄道車両にアールヌーボーの発想を取り入れているように見える。ラウンジカーの柱や窓枠が木々をイメージしているのがその表れだ。
また、展望車は窓枠を斜めに配置しているため、外の景色と一体化しているように感じられる。縦と横が当たり前の従来と鉄道車両と比べれば、あまりにも斬新だ。
四季島と瑞風はデザインの方向性が違う
一方、瑞風は車内デザインを建築家・インテリアデザイナーの浦一也氏に託した。浦氏は世界中のホテルの客室に泊まり、実測図を描いてきた。つまり、狭い列車内を快適に過ごすためのデザインを浦氏ほど知り尽くしている人はいない。
「懐かしさを感じるデザインで、ホテルのような上質な空間を目指した」と浦氏は語る。展望車、食堂車、そして客室はクラシックな豪華ホテルのような雰囲気が漂う。これは、瑞風の前身である「トワイライトエクスプレス」のイメージを踏襲しているともいえる。
四季島と瑞風、双方の内部を取材したメディア関係者の何人かに話を聞いたが、「どちらがすごい」といった声は出てこなかった。
意見を集約すると、「四季島は鉄道デザインの新しい領域にチャレンジしている」「瑞風はトワイライトエクスプレスの進化形」といった感じになる。要は、車両デザインの目指す方向性が異なるので、優劣というよりも好みの問題ということになりそうだ。
クルーズトレインの旅の満足度を高めるのは車両だけではない。食事、接客、そして何よりも旅のコースだ。四季島、瑞風ともに複数のコースを準備しており、車窓から景色を眺めるだけでなく、途中下車して立ち寄る観光コースもある。
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