親元を離れる地方出身の大学生、特に私大生はアルバイトをしないと生活どころか、生きていけない状況なのだ。そのような厳しい状況の中で、親世代の世帯収入は下がり続け、学費の上昇は続き、授業の出席は厳しい。経済的に追い込まれている大学生を理不尽に使うブラックバイトが大問題となっている。現在の大学生には、“レジャーランド”と揶揄されたかつてのように遊びほうける余裕はない。
「詳しくはないですけど、コメントされている方々の時代は恵まれていたんですよね。だから、学生が風俗に身を落とす意味がわからないというか。風俗で働いていると、中年のお客さんですごく見下してくる人は多い。“どうして、こんな仕事をするの? ブランド物が欲しいの?”みたいな。そんなのおカネのために決まっているじゃないですか。わからないなら、わからないで別にいいし、理解してほしいとも思わない。けど、違和感はありますよね」
菅野さんには、親はいない。仕送りはゼロ円だ。大学を卒業するためには、4年間の学費と生活費のすべてを自分で稼がなければならない。高校2年生のときに進学を決意して、アルバイトをして貯金した。高校と児童相談所の反対を押し切って、上京。受験して、進学した。夜間部を選んだのは授業料が安いからだ。
入学してすぐに風俗に行った
一般的な大学生が時給アルバイトで稼げるのは、せいぜい月10万円が限界だ。菅野さんの収入は奨学金と合わせて月16万4000円、家賃を支払ったら残るのは9万円程度。そこから携帯、光熱費、交通費、食費を支払えば、おカネはほとんどなくなる。親のいない彼女は、さらに学費がかかる。
「アルバイトだけでギリギリの生活はできます。けど、どうしても学費が払えない。それは高校生の頃からわかっていたことなので、1年生の春には風俗に行きました。池袋のデリヘルです。1本1万円の店で、出勤は週1日くらい。稼げるのは月6万~10万円程度かな。風俗で稼いだおカネは、全部貯金して学費にしました」
地元は地方。経済的に無理して上京、進学した。それなりに覚悟があったので、18歳で風俗嬢になっている。その事実を淡々と語るが、知らない男性に性的サービスをする風俗の仕事は精神的に厳しいという。
「1日出勤するだけで精神的にきます。もう、次の日は動けなくなるほど、疲れる。割に合わないです。やっぱり後ろめたさがあって、おカネのためだから仕方ないとか、売れるもの売って何が悪いっていう言い分もあるけど、やっぱり社会的に認められていない一面が居づらくさせるというか。知らない男性を相手に、こういうことしなくちゃ自分は生きていけないって現実が苦しい。あと、カラダが痛い」
デリヘルが提供するサービスは疑似性行為である。知らない男性を相手に会話して愛撫され、欲望の的にされる。精神が削られるだけでなく、10代のまだ成長途上のカラダも疲弊したという。
「つかみ方がひどい人とか、あとヒゲでこすられて痛いとか。胸の上とかすれて、血が出たりすることもあって、すごく疲れるし、1日働いたら次の日はアルバイトに行くのがツライ。カラダを休めたいけど、そんな休んでいる時間はないし。それで、大学の友達からTwitterで男性を探す方法を教えてもらった。まあ、売春ですけど、今はSNSで男性を見つけておカネをもらっています」
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