スキーバス事故から1年、違法運行なくせるか 国土交通省が貸切バスの規制をますます強化

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

当時、貸切バスの需要はすでに右肩下がりだったが、規制緩和の前後で貸切バス業者は急増。その大半が経営基盤の脆弱な小規模業者だった。一方で景気の低迷で団体旅行や豪華ツアーでの貸切バス需要は激減。当然、価格競争に陥った。コスト削減のシワ寄せが来るのが、人件費であり、車両整備の手抜きなど安全面にも及んだ。

付加価値を高めるバスも登場

その後は、これまで見てきたように大事故が起こるたびに、規制強化の方向に向かった。2014年度には貸切バス運賃制度が一新され、運賃の上下限の順守が厳格化された。業界団体の日本バス協会によれば、2013年度は貸切バス業者のうち40%が経常赤字だったが、2014年度には24%まで減少。安全への投資を担保しつつ、業者の採算性が向上した。

大手乗合事業者が貸切バス事業に再参入したほか、フルフラットに近い座席などを装備した高級車両や、1階部分を厨房にしたレストランバスなど、新たなサービスを展開する業者も出てきている。

日本バス協会は「貸切バス安全性評価認定制度」を設け、認定事業者を公表。2016年9月末では全事業者のうち23%、車両数では48%が安全の「お墨付き」を得た。うち291社が最高レベルの「三つ星」評価を得ている。貸切バス業界全体が安全確保に努めているのは確かだ。信頼回復には、より一層の取り組みが求められる。

鈴木 文彦 交通ジャーナリスト

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

すずき ふみひこ / Fumihiko Suzuki

1956年山梨県生まれ。東北大学卒業後、東京学芸大学大学院で交通地理学を学ぶ。以後フリーの交通ジャーナリストとして月刊『鉄道ジャーナル』にレギュラー執筆するほか、バス・鉄道に関する著書・論文、記事多数。近年は交通事業者や地域のアドバイザーをはじめ、講演活動も行う。

NPO法人日本バス文化保存振興委員会副理事長

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
鉄道最前線の人気記事