スキーバス事故から1年、違法運行なくせるか 国土交通省が貸切バスの規制をますます強化

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貸切バスの安全性を問う事故はこれが初めてではない。2012年4月29日未明、北陸から都内へと向かう高速ツアーバスが大事故を起こした。1人乗務だったドライバーの居眠りが原因で防音壁に激突し、乗客7人が死亡、38人が重軽傷という惨事になった。運行を受託した貸切バス業者は、夜間運行での交替要員を確保せず運行管理体制にも不備があった。さらに無許可営業などの法令違反も発覚した。

国交省は2012年夏、夜間運行する高速バスにおける1日の乗務時間と1運行当たりの乗務距離について限度を明確化。その後、夜行以外の一般貸切バスにも拡大された。

大事故をきっかけに規制緩和は揺り戻し

さらに2013年7月までの1年間で、それまでの高速ツアーバスの形態を廃止すべく新規制への移行が行われた。貸切バス業者が長距離バスを運行する場合には、より厳格な安全基準がある「高速乗合バス」という形態で国の許可を得る必要に迫られた。

高速乗合バスはあらかじめ設定されたルートやダイヤ、乗降場所、運賃で運行する路線バスの一形態だ。それに対し貸切バスは、旅行会社(または個人)と貸切運送契約を結んだバス業者が顧客の個々のニーズに応じて運行する。

高速乗合バスの方が安全管理の要件が厳しい。基準を満たせない業者はツアーバスから撤退し、事業者数は減少した。だが、それでも貸切バス業界の過当競争は続いた。

そもそもの要因は2000年の貸切バスの規制緩和にある。免許制から事業許可制に移行し、運賃設定の自由度も増した。

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