コンビニ3社が「年末商戦」に力を入れるワケ 弁当が1年で最も売れる書き入れ時
年末年始のこの時期は、コンビニエンスストアにとっての書き入れ時だ。そこにはコンビニ大手各社に共通する戦略も垣間見える。
これまでコンビニ業界での繁忙期といえば、8月だった。夏休みの行楽シーズンであることや、冷やし中華など麺商品のピークを迎えるためだ。だが、「ここ数年、弁当に関しては12月末が1年で一番売れる」(セブン‐イレブン・ジャパンで中食部門を担当する高橋広隆・統括マネジャー)。
今年は28日に仕事納めを迎える企業が多い。「クリスマスが終わり仕事納めを迎えるまでの平日にあたる26日、27日は年内に仕事を終わらせるための残業が増え、コンビニ弁当のニーズが高まる」(高橋マネジャー)。この需要期にぶつける形で、セブン、ファミリーマート、ローソンの大手3社はそろって弁当の販促セールを実施する。
売れ筋である400円台前半の弁当がボリュームゾーンという点は通常期と変わらないが、この時期のコンビニ弁当にはある特徴がある。それは「高単価」の商品が投入されるという点だ。
600円台の弁当を積極投入
セブンは12月20日に「牛飯&牛そぼろ弁当」(税込み650円)を発売した。ご飯に牛肉煮と牛そぼろ煮を敷き詰めた、期間限定の商品だ。ファミリーマートも同日に「季節野菜と海老天重」(同698円)を、ローソンは12月上旬に「玉子で食べるローストビーフ丼」(同690円)を発表している。これら以外にも11月下旬以降、各社とも500円台後半から600円台の商品を積極的に投入している。
いずれの弁当も売れ筋の定番弁当と比べると割高。にもかかわらず、各社とも「販売は好調」と口をそろえる。「12月は賞与がでる月で、消費者の懐があたたかい。上質なものを食べたいというニーズが出てくる時期でもある」。ローソンの松本茂・中食商品部長はこう語る。
ローソンのローストビーフ丼は昨年に続き2回目の投入となる。価格は変更していないが、今回は玉子を追加することで質の向上を図った。さらにローソンでは昨年プレートタイプの弁当で出したすき焼き弁当を、今年は丼ぶり型に変えた。「今年は年末の忙しい時期を意識して即食性の高い丼ものに改良したところ、想定を超えるペースで売れている」(ローソンの松本部長)。
弁当の販促を通じていかに高単価の商品を定着させるか。年末年始はコンビニにとって商品力をアピールする絶好の機会になる。
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