貧困若年層は、老人と同じく税金で支援せよ 「働かせる」では解決不可能な時代に突入した
日本の社会保障や社会福祉は相変わらず、対象者を一部の高齢者や障害者、児童を中心に構成している。介護保険法の要介護高齢者、障害者総合支援法の障害者、児童福祉法の児童、生活保護法における要保護者・生活保護受給者など、その対象者を法律によって、狭い範囲で捉えてきた。その対象になれば、不完全ながらもおおむね支援策が提供されるが、それ以外の対象者は、あたかも生活課題やニーズがないかのように扱われてきている。
福祉対象者はあらかじめ定められている
この旧来型の福祉システムでは、福祉給付や支援を受けられる人々が一般的でも、普遍的でもなく、「特別な存在」として位置づけられ続けている。
また、福祉対象化する際も、「本当に困っているのか」「どの程度困っているのか」「なぜ困ったのか」「それは本当か」などと厳しい審査をして、福祉対象にするか否かを選別する。
要介護高齢者などは顕著な例であろう。介護保険の申請から、要介護度を決めて、どの程度の支援量があればよいのか、なかば一方的に決めていく。ひとり暮らしに困難があっても、何らかの支援が必要だとしても、要介護度が低く判定されることもある。
障害者総合支援法では、各種障害者手帳を有する人々には、「障害者」として認識し、福祉サービスを提供する一方で、手帳を有していない人々には、福祉サービスをほとんど提供しない。
生活保護法も厳しい資産調査を課し、収入が一定基準を超え、あるいは貯蓄や資産が一定程度ある人々には、給付を伴う支援を行わない。「極貧状態になってから支援します」という制度だと言ってもいいかもしれない。
このように、日本社会は支援対象を極めて細かく設定している。そうしなければ、限られた福祉予算を必要な人々に配分できないからだ。いつの時代も政府や世論の意向によって、福祉対象者はあらかじめ定められているし、つくられている。
だからこそ、そのような枠組みから漏れる若者や滞日外国人、DV被害者や難病患者、性的少数者(セクシャル・マイノリティ)などでは、ますます困窮度合いを高めている姿が見受けられるようになった。
つまり、若者たちへの支援を行うか否かを決めるのはわたしたちであり、支援が必要ではないと言っているのもわたしたちである。そろそろ貧困世代を明確に福祉対象化し、支援施策の充実を図ってもよいのではないだろうか。
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